2015年7月27日月曜日

「こんなの原価○円だよ?」の無意味さと、調剤技術料の必要性


デフレ不況の記憶がまだ新しい昨今、以下のような記事をよく見かけましたね。

Naverまとめ 実は信じられないくらい安い『物』の原価をバラしちゃいます【雑学】

一例を挙げると、「フライドポテトの売価は240円ほどだが、原価はたった15円」といった内容。意図としては、「だからこんな安いものを高く買うなんてアホらしい!値切れor買うな!」ということなんだと思いますが…


言いたいことはまさにこの↑通りなのですが、順を追っていきます。


まずは原価ありき


製造業なら製造原価。
小売業なら仕入原価。

これより安く売ると完全に赤字になる、誰でもわかる最低ラインですね。「フライドポテトの原価15円」とか「化粧水の原価5円」とか言ってるのはここになります。

ちなみにこれは社会人の常識ですが、たくさん作ると製造原価を安く抑えることができます。工場を建てて年間1000個しか作らない製品と、年間100万個作る製品とでは、同じようなものを作っていても製造原価は大きく違います。これは、固定費部分(製造数量に関わらずかかる費用)を賦課する数量が増えるためです。




さらに”販売費および一般管理費”あり


忘れられがちなのがココ。店を構えるのには大家に支払う家賃が要りますよね。人を雇うなら給料を払わないといけませんし、光熱費も要ります。設備も永遠には使えないので時には買い替えますし、現場を裏で支えるバックオフィス業務もあります。

製造原価(または仕入原価)に、それら”販売費及び一般管理費”を乗せた額、これが損益分岐点、つまり赤字になるかどうかの真のラインです。


「こんなの原価◯円だよ?」がなぜナンセンスか


1.製造原価が異常に安いのはなぜかを考えていない

2.販売費及び一般管理費の概念が抜け落ちている

なぜか日本は昔から「儲けるのは悪」とされています。そうはいっても原価に利益を乗せるのが悪いことのように考えるのはいくらなんでも無茶でしょう。ここはクリアしないと事業自体が維持不可能です。繰り返します、販売費及び一般管理費を忘れないで!

3.そもそもお前作れないだろ

これ。仮に作れたとしても作りたくないでしょ。


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類似例として

タクシーに乗って「使ったガソリン代だけ払うから、◯◯まで乗っけてよ」

ソバ屋に行って「ソバと出汁の原価分だけ払うから、かけソバ一杯食わせてよ」

スタバに行って「豆代だけ払うからコーヒー一杯ちょうだい」

美容院に行って「使ったシャンプーと水道と電気代だけ払うから、切ってよ」

薬局に行って「技術料って何?薬代だけ払うからこの処方薬ちょうだい」

病院に行って「原価かかってないからタダでいいよね?」

って言ってみてください。



まぁ結論を言うと、調剤技術料は必要ってこった。


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