2015年8月24日月曜日

「定額給与で正社員使い放題だー」の頭の悪さ


いつの頃からか普及している?定額給与。「残業代込みで月給いくら」という形態であり、実質的に「正社員使い放題」が実現。国会では”残業代ゼロ法案”をなんとか通そうとしていますが、現場では違う形で既に実行されていたり。

個人的にはダラダラ残業が嫌いですし、それを誘発する残業代も嫌いです。ゆえに定額給与というやり方は一分の理がありそうですが、実際には「無能な社員を引き寄せる人事制度」になりがちです。

なぜか?


そもそも定額給与にする理由は?


本来であれは「ダラダラ残業を排し、生産性を高めるため」であるはずです。そのためにはそのような社内風土を醸成すべく繰り返し掛け声を上げるなりシステムを整備するなりせねばなりません。

でも実際には「人件費をケチりたいから」が本音なんです。ゆえにそのような社内風土もなく、システムもなし。さらに言えば「1円でも多く利益をあげてほしい」ので「できるだけ長く働いてほしい」んです。

となると、どうなります?


8時間働いて8稼ぐ人 < 15時間働いて9稼ぐ人


こうなりますね。経営者から見れば人件費というコストが一定である以上、その人が何時間働いたかに興味はなく、いくら稼いだかしか見ません。

しかし、生産性=成果/労働時間です。「生産性が低い」と指摘すると「遅くまで頑張って働いているんです」と反論されたという笑い話がありますが、頑張る方向性を間違えてはいけません。上記例では後者の人間は前者の人間に比べて能力が4割も低いです。

有能な人ほど時間あたりの成果を高めようとしますが、無能な人は労働時間でカバーしようとします。これには弊害が2つ、生産性が一向に上がらないことと、繁忙期のバッファーが皆無であることです。

有能な人は常に生産性を高め、いざというときは長時間労働でカバーします。そして普段は空き時間で英気を養い、読書など自己研鑚に努めます。格差は開く一方です。

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無能は残業合戦、有能は腐るor離れる



しかし無能には居心地のいい会社であるため居座ります。自分はどれだけ遅くまで残って働いているか、休憩も取らずに働いているか、どんどんおかしな方向に。

有能な人ほどそうした無益な争いからは早々に降り、腐る(テキトーに手を抜いて仕事をする)か離れる(退職する)ことになります。それはそもそも経営者も望んでいないのでは?誰得?無能得ですよ。


そもそも変動費であるはずの給与を固定費にしようとするのが筋悪


変動費とは使った分だけコストがかかるもの。固定費とはどれだけ使っても一定でかかるコスト。携帯電話の通話料と基本料金みたいなものですね。

本来人件費は水道や電気のように「できるだけ上手く使って節約すべきもの」のはず。これを固定費にするということは設備などのモノと同じで「使わないと勿体無い」という考え方に。いきおい長時間労働が奨励され、上記のような事態になるのは避けられません。

携帯電話を通話定額にすると無駄な通話が増えるのと同じ。



では、変動費たる人件費をどのように上手く使うのか?仕事やリソースの配分をどうデザインすべきか?どのようなシステムを構築すべきか?それこそが経営者の力量であり、本分であるはず。(優秀な)労働者をモノ扱いして丸投げするなど言語道断です。



といっても、このテの人はこうした内容を理解しようとしないので、優秀な、あるいは優秀であろうとする労働者は自衛する必要がありますね。早々に離れるか、上手く腐るか、あるいは「残業◯時間込みでこの月給なら、残業別でこの月給にしてくれ」のように交渉してみるとか。

残業代込み社員と残業代別社員。経営者(というかオーナー)はどちらの時間をより大事にしてくれるか、愚問ですよね。もちろんより少ない時間でも、他の人に勝るとも劣らない仕事ぶりを見せましょう。空き時間も活用しましょう。これは義務です。


業種や職種にもよりますが、知識集約型ではなく労働集約型の仕事においては、「残業は悪」は当てはまらないんじゃないかな。そして、知識集約型の割合が100%なんて仕事は存在しません。残業代払え。


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