2016年5月23日月曜日

ゆるいブラック企業なら許される?


いわゆるブラック企業。法令を順守せず、従業員を不当に搾取する企業のこと。

残業が月100時間を超える過重労働ばかりがクローズアップされますが、そこまでやると目立つので、毎日の出退勤前後1時間タイムカードを少なめに切らせるというセコい事業所もあるようで。もちろん昼休みも拘束ですよ。聞いた話ですけどね。

程度の差はあれど、これらはすべてブラック企業です。ブラック企業なんてカッコよく言うといけませんね、違法企業です。↓と同じ理屈です。


こうしたゆるいブラック企業違法企業なら許されるのか?実は社会的存在意義があるのではないか?を考えてみました。


タイムカードを適正に切らないことによる影響の程度は?


「たった1時間なら大したことないじゃない」と言う人が多いでしょう。こういうのは実際に計算してみましょう。

出勤前1時間、退勤前1時間、そして昼休みも1時間、タイムカードを切らずに労働ないし拘束されていたとします。1日3時間、週5日働いていたとすると計15時間。半休×2、全休×1パターンなら週6日労働なので、半休の日は昼休みなしとすると計16時間。

週の所定労働時間が40時間なので、これが+15時間ないし+16時間されるということは、+37.5%ないし+40%の労働時間ということになります。実質3〜4割の賃下げです。

時間はタダではありません。実際、時間を売って労働をすることで賃金を得ているわけですから。しかしこの意識が薄い人は多く、結果こうしたセコい事業主につけこまれている人が多いようで。


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そうしないと仕事が回らないんじゃないの?


ピーク時間は忙しくて何もできない。だから前残業、昼休み仕事、退勤前残業してやっと回ってるんだ。仕方ないじゃないか、という意見。

既存の人間が4割増しで(タダで)働かなければ回らない職場であるなら、明らかに追加で人員を雇うべきです。その責任は事業主にあり、従業員が責任を感じる必要はありません。


もちろん、従業員がよほど悪質にサボっていたり、故意に仕事を複雑化しているなら別ですが。仕事はきっちりバッチリ決めていることが大前提ですよ。



そうしないと会社が潰れるんじゃないの?


会社の経営が苦しく、人件費を削らないとヤバイ。でも追加で雇うことはできないし、給与を最低賃金以下に落とすこともできないから、時間でズルして実質的に最低賃金以下を実現。これでなんとかなってるんだからそこまで目くじらを立てなくてもいいんじゃない?という意見。

これは明らかに潰れるべき会社です。従業員を食い物にしないと存続できず、食い物にされている従業員がいい仕事をするはずもなく、客からしても迷惑な会社、この世から消えるべき会社です。残った個人は他の会社に移るだけなので。


「そうしないと回らない」も「そうしないと潰れる」も本来は事業主が心配すべきこと。それを従業員に転嫁するべく、日本人特有の同調圧力を逆手に取った汚いやり方です。



そんなとこでしか働けない人もいるんじゃないの?


学歴もなく、やる気もなく、キャリアもなく、何の専門知識も専門技能もない、そんな人にできるのは自分を犠牲にすることくらいだし、過重労働というほどじゃないしそれくらい我慢しろよ、という意見。

これは残念ながら一理あります。ある程度ハイクラスの人間なら出会うはずのないDQN層の仕事に対する姿勢というのは想像を絶するもので…そこまで底辺じゃなくとも、本当に誰にでもできる仕事で、最低賃金をきちんと支払い、社保も入れてあげて、時間ピッタリで帰らせる、それではたしてペイするのか?問題。


もしそうした会社がすべて潰れると、彼あるいは彼女たちは職を失います。生活保護を受給して国のお荷物になるくらいはまだマシで、「貧すれば鈍する」とも言いますし、何をしでかすかわかりません。

そういう意味では、こうした人たちの面倒をみてくれるゆるい違法企業には社会的存在意義というものがあるのかもしれない…。「いや、絶対にない!全部潰れろ!」と言えますか?私にはわかりません。意見求む。



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もし自分がこうした違法企業に搾取されているなら、躊躇せずに転職しましょう。あなたが底辺層じゃない限りはもっとマシな職場が他にあるはずです。

「そうしないと潰れる」ような職場は黙って去り、「いや、明らかに経営的に余裕あるでしょ」な職場は労基に通報しつつ去りましょう。


ちなみに、冒頭の例は後者のケースでした。引くわ。



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