2016年8月22日月曜日

子どものために親がしてやれること


「結婚するメリットがない」と公言して憚らず、同期の女子一同から白い目で見られていた、そんな私にも今や娘が二人おります。こんばんは、雅です。本日はタイトルの件について。

ドラゴンボールのチチばりの教育ママを見ると「あぁ、子供が可哀想だ」と思うものの、さりとて子供の教育にまったく無関心で放任も考えもの。唯一絶対の正解はありませんが、少なくとも「そもそも何が効果があり、何が効果がないのか」を知ることは役立ちそうではありますよね。ここは統計学の出番でしょう。


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例えば、「うちの子が将来大学進学するかどうか」は通常わかりませんが、「大学進学率の低い地域に住んでいると、進学しない蓋然性は高い」といえます。

このようなアプローチで子育てにおける有効無効を遺伝、共有環境、非共有環境の要素別に、それらが子供にどれだけ影響を及ぼすのか?を見ていきましょう。


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1.遺伝


容姿や身長・体重、一般知能や数学的能力、音楽的才能、運動能力の遺伝率は約8割です。これは「運動神経抜群の親からは8割の確率で運動神経に優れた子供が生まれる」ということではなく、ある子供が運動神経に優れているとその8割は遺伝で説明できる、ということです。その逆も同様。自閉症やADHDなどの発達障害も遺伝率8割以上。

「生まれが半分、育ちが半分」なんて、容姿、一般知能、数学、音楽、運動能力(及び発達障害)に限って言えばウソっぱちです。「ほぼ遺伝」と言っても過言ではないでしょう。

これを受けて親が取りうる最適戦略は、「良い遺伝子を持ってそうな配偶者を選ぶ」になります。例えば美人、賢い人、スポーツマンなど。



ちなみにそれ以外の、例えば外向性や損害回避、協調性や神経症傾向などの性格・気質の遺伝率は4〜6割。「生まれが半分、育ちが半分」というのはココですね。


2.共有環境


共有環境とはつまり、家庭内環境ですね。「育ちが半分」の”育ち”はコレだと、普通は思いますよね?

しかし、家庭内環境は子供の性格や能力に影響を及ぼさないことが一卵性双生児の研究でわかっています。家庭内環境が「影響を及ぼす」と言えるのは唯一、言語性知能のみ(遺伝率6割弱)。つまり、母語(日本語)を教え、どんな言葉遣いをするか教えることですね。「子は親の言葉遣いを真似る」ってやつです。

これを受けて親が取りうる最適戦略は、「言葉遣いの綺麗な配偶者を選ぶ」になります。言葉遣いが汚くて得することなんてありませんからね。


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ちなみにアルコールや喫煙、学業成績(知能ではない)への影響は僅かに2割前後あるので、これらに対しては「少しは影響を与えることができる」というイメージで。

ただし、「親の情熱と子のやる気は反比例する」というのも併せて記憶しておきましょう。成績を上げたいからと勉強やれやれ言うのは逆効果みたいですよ。遺伝的素養がない子に対してコレをやる悲劇が全国各地で散見されますよね。ご注意を。


3.非共有環境


非共有環境とはつまり、友達付き合いですね。どんなところに住み、どんな友達と遊び、どんな子供時代を過ごしたか。はい、これが「育ちは半分」の”育ち”ですね。

性格や気質の残り半分はもちろん、社会性や性役割はほぼ非共有環境で決まります。遺伝でほぼ決まっているはずの能力面ですら(微力ながら)影響があり、「友達は選びなさい」は真実ですね。

これを受けて親が取りうる戦略は、「住む場所を選ぶ」になります。友達を取捨選択するなんて非現実的ですからね、こちらが動くしかありません。土地柄が良いところにね。


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なぜこうなっているかの確からしい推論があります。太古の昔から親は親同士のコミュニティで、子供は子供同士のコミュニティで暮らしていた。子供は赤子のうちは親の庇護下にあるが、ある程度大きくなると子供同士のコミュニティで生きていかないといけなくなる。ときには親が禁じていることを仲間たちがすることもあっただろう。文明ができる遥か前、死と隣り合わせの時代において、親の言うことを聞いて仲間の和を乱す群と、親のいうことを聞かず仲間に合わせる群とがいたとして、どちらがより多く生存するだろうか?

かくしてある程度大きくなった子供は、友達と親とで板挟みになったとき、親の言うことを絶対に聞きません。であれば、せめて良い友達に恵まれてほしいものですね。



まとめると

容姿や能力は8割がた遺伝で決まり
性格は生まれが半分、育ちが半分
育ちは友達関係であり、親からは言葉を学ぶのみ

ということですね。



共有環境(家庭環境)がほとんど無関係という事実に「親は役立たずっていうのか!」と感情的に否定したい気持ちはわかりますが、それは違います。子供のために良い遺伝子を選び、良い非共有環境を与えることができるのは、親だけなのですから。


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また、こちら↑の書籍では「頭のできを決めるのは環境要因も半分ある」という結論になっていますが、そりゃ知能の高い親から生まれた子供でも栄養失調では脳の発達は難しいでしょうし、そもそも家庭環境が崩壊していて学校に行かなければ教育への道は閉ざされるでしょう。そういう意味では環境要因もなくはないと言えますが、それを「頭のできの半分は環境で決まる」は言い過ぎです。

正しくは「必要最低限の栄養状態と、そう悪くない家庭環境があればさえ、知能や身長などはほぼ遺伝で決まる」ですね。十分条件ではありませんが、必要条件である、ということです。

そしてこれら必要条件を与えることができるのも、また親なのです。

子のために、懸命に賢明に頑張る親でありたいですね。


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