2018年3月8日木曜日

医療用のビタミンEは抗酸化活性が低い?


ビタミンEには複数種類あることをご存知かと思います。

α-、β-、γ-、δ-トコフェロールの4種類ですね。抗酸化活性はα>β>γ>δの順で、ゆえにα-トコフェロール当量でもって摂取量などを計算する、とここまでは学校で習ったはず。

さらに、α-、β-、γ-、δ-トコトリエノールの4種類を含めて計8種類であり、それぞれの抗酸化活性は実は無視できないものがあるという説。トコフェロールの抗酸化活性は実はin vitroだとα<β<γ<δの順だが、他の抗酸化物質との相互作用で逆になる、などなど。

ネタはいろいろあるんですが、今回のお題はd体とdl体について。

参考リンク:
エーザイ ビタミンEには天然、天然型と合成がありますが、どのように違うのですか?
http://www.eisai.jp/health-care/faq/detail.php?nodeid=00130&faqid=1242126



医療用医薬品のビタミンEはd体?dl体?


医療用ビタミンEといえば、エーザイ株式会社のユベラですね。上記リンクの通り、合成はdl体、天然はd体、天然型(?)はd体に酢酸がくっついてるようで。(2,4'、8'位がRRR配位のものがd体、ラセミ体がdl体)

はたして医療用ユベラはどうでしょう?

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トコフェロールニコチン酸エステルと記載。d体なのかdl体なのか明記されていないため、DIに問い合わせてみると、「dl体です」と回答あり。さらに「おそらく医療用はすべてdl体ですが、各メーカーに問い合わせてください」とのこと。(→試しにサワイに聞いてみるとやはり「dl体です」と回答。)

続けて「合成のdl体は天然のd体と比べて抗酸化活性が低いのは事実か?」と質問したところ、「事実です」とのこと。まじかー



天然モノと比べてどの程度低いのか?


(画像引用本:ビタミンEおよびその類縁化合物の抗酸化作用

こんなの見つけました。エーザイのDIからの「概ね26%低い」という情報と一致。

なお、「最近のOTCはd体を使っていますし、当社のユベラックスもd体です」との追加情報。「なら何で医療用もd体にしないのか?」と聞きたかったけど、なんか大人の事情()を感じてここで撤退。

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考えられるのは
・製造コスト的な理由
・医薬品なので再度の承認申請が面倒すぎる
・抗酸化活性が多少低くても大用量の摂取なのでほぼ問題ない

こんなとこでしょうか?



実はもっと低いかも…


しかし、さらに気になる情報がありました。
以下、食品に含まれる抗酸化物質の評価(pdf)より抜粋

All-rac-α-トコフェロールを人に投与した実験から従来の栄養所要量で使われているall-rac-α-トコフェロールの生理活性値がRRR-α-トコフェロールの約3/4という値よりも低く、1/2~1/3と推定されよう。

なんと、「26%低いどころじゃない、50%〜67%低いかもしれない」らしい。


真偽のほどはわかりませんが、これはわからない話でもありません。天然のビタミンEがRRR単独なのに対し、合成だとRRS-、RSS-、RSR-、SSS-、SRS-、SRR-、SSR-の7種類が含まれるわけで、これらの抗酸化活性が天然のRRR体より低いとすると、その当量混合物の抗酸化活性はそれらを按分したものになるはず。(なお、機序としては体内動態的なものによるようです、上記論文参照。)


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こちらの著者(ボディビルダー;ダルビッシュのコーチ?)は合成ビタミンEを「粗悪品」とすら言っています。そこまでなのかどうかはわかりませんが、ビタミンEを日常的に摂取したいなら選択肢にあえて合成品を挙げる必要はないかな、と思います。



ビタミンEの同族体は8種、α以外も摂るべき?


山本義徳氏はα-、β-、γ-、δ-トコフェロールおよびトコトリエノール計8種すべて含んだ、フルスペクトラムビタミンEを推奨しているようです。名前かっこよすぎでしょ。


ただし高価なので、トコフェロールは通常のサプリメントで摂取した上で追加してこちら↓

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パーム油由来のトコトリエノール4種の商品。

ただ、α以外のトコフェロールおよびトコトリエノールの効果のほどは、前述の論文を見る限りさほどでもないようで。もちろんまだ証明されていないだけで、局在する臓器の違いなどでαトコフェロールでは足りない部分を補っていたりするのかもしれません。



以上をまとめて、私の結論は

d-α-トコフェロールをサプリで摂取し、その他の同族体は食物から日常的に摂取する

です。


ではビタミンEのサプリは何を飲めばいいのか?


重視する要素は3つ。

コスパが良い
大手メーカーである
Amazonの定期おトク便が使える

コスパが悪いと続きませんし、大手メーカーじゃないと信用できませんし販売中止リスクもあります。そして個人的にはAmazon定期便に乗せれると嬉しい(笑

大塚製薬 ネイチャーメイド E400 100粒
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ということで、ベタですがこちらになります。さすがサプリ先進国アメリカ。

ディアナチュラも見てみましたが、成分を見ると「ビタミンE含有植物油、酢酸V.E、ゼラチン、グリセリン」で、メーカーに問い合わせるとビタミンEは天然(d体)と合成(dl体)のブレンド。比率を尋ねると丁重に断られました。

一方、ネイチャーメイドの成分は「大豆油、ゼラチン、ビタミンE、グリセリン」であり、メーカーに問い合わせたところ「ビタミンEはすべて天然(d体)」とのこと。大豆油はビタミンEの溶媒というか、賦形剤のようで。

なお、小林製薬やDHCは個人的にあまり好きではないのでパス。製薬会社のはコスパ悪いので除外しました。



さらに、ビタミンEを多く含む食品といえばこちら


参考リンク
国立健康・栄養研究所 ビタミンE解説

これをおやつにして日常的に摂取しましょう。α以外のβ-、γ-、δ-トコフェロールも摂取することができ、なおかつ良質な植物性脂質やタンパク質、ミネラルも摂取!

スーパーで買っても100gあたり350円ほどで買えると思いますが、大量買いで100g単価300円切りが可能。生だと水分が多く、梅雨時などは特にカビやすいので注意。個別包装の商品を選択するなり、密閉して冷蔵庫保存するなり、ローストしたものを選ぶなり、お好みで対策してください。


なお、トコトリエノールを食品から日常的に摂取するのは難しいようです。パーム油とか使わないよ…トコトリエノールの効果を信じる方はぜひこちら↓も摂取してみてください。効果のほどを教えてもらえると嬉しいです。

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いわゆる加齢臭は要は脂の酸化なので、これらの摂取で生体リン脂質の酸化が防げれば無臭のおじさんになる(かもしれない)。

加齢臭に限らず老化の原因は生体内に発生するラジカルだと言われていて、大量のビタミンEを摂取することでかなり防げる。そしてラジカルに酸化されたビタミンEを還元して再利用できるようにしてくれるのがビタミンC。ビタミンCの同時接種を忘れずに。


関連記事:ユベラ錠50mgとユベラソフトカプセル200mgの違い