2012年11月16日金曜日

高齢患者の「薬足りなかったぞ」は薬局永遠のテーマ

薬局薬剤師であれば誰もが体験したことがあるでしょう。

患者から電話があり

「こなだいだもらった薬、数が足りないよ」


みなさんの薬局ではどのように対応されていますか?ケースバイケースですが、非常に困りものですよね。ポイントを3つにまとめました。


1.連絡があったのは当日?飲み終わりが近くなってから?


前者であれば薬局側の間違いである可能性があります。今日持って帰ったばかりの薬を見て「数が足りない」と言っているわけですから。

対して、飲み終わりが近くなってから連絡してくる患者は困りもの。「順番に飲んでいって一種類だけ3錠余った、他が足りなかったはずだ」ときます。素人目にもおかしいとわかるはず。自分が飲み間違えたとは夢にも思わない自信は一体どこから来るんでしょう(笑)


2.数量がどう違う?


例えば内服薬2種類が28錠ずつ処方されている患者から電話があり、「14錠ずつしか入っていなかった」と言われれば、薬局側の間違いである可能性が高いですね。ウィークリーシートを採用している店舗であればなおさら。おそらく調剤者・監査者共に14日分(=2枚ずつ)ではなく7日分(=1枚ずつ)と思い込んで見逃してしまったと予想されます。

しかし、同様のケースで「一方が1錠足りない」というのは相当怪しい。それはつまり「一方は28錠入っていたが、もう一方は27錠しか入ってなかった」ということ。1シートが10錠であろうが14錠であろうがそんな取り方をする薬剤師はいませんし、見逃すことも考えにくいです。上記1の、一種類だけ3錠多いというのも同様です。


ただ、二種類の内服薬を60錠ずつというケースで「片方が50錠しか入ってなかった」というのはあり得ます。シートとシートを”表裏表裏表裏”と6枚合わせていくところ、”表裏表表裏”と間の一枚が抜けていることが稀にあります。

これを防ぐためには、監査者は少し神経質なくらいシートの合わせ方にこだわりましょう。上下左右、シートデザインがすべてぴったりになるように組み直し、側面を右から左からとチェックする習慣を付けることで確実に防げます。監査時間が長くなる点は最初は気になるかもしれませんが、慣れれば5秒です。お試しあれ。


3.足りないのは何の薬?


作用が軽微で安価な薬やビタミン剤であればまだしも、高価な薬や向精神薬であった場合、そう簡単に渡すわけにはいきません。特に後者が同じ患者に頻繁に続く場合、場合によっては通報が必要かもしれません。できれば避けたい事態ですね。



申し出があったときによく話を聞き、「どちらの間違いである可能性が高いか」を瞬時に読み取る能力がまず必要になってきます。読み取った後どう対応するかは、その薬局の管理薬剤師の方針に従ってください。


私が管理する薬局では、患者側の間違いである可能性が高い場合でも「一度目は謝罪し渡す、次回以降投薬時に数量を一緒に確認」という方針です。

「足りない」と申し出てくる患者は一定数必ずいます。ごく少数の患者と渡した渡してないの水掛け論は不毛です。それよりも足りないらしい薬を渡してしまい、次からも来てもらった方が会社の収益を落としませんし、時間の節約にもなります。それでも「足りない」と何度も言ってくる悪質な患者は、調剤拒否の正当な理由になりますので、他所に行ってもらいましょう。

私が以前勤務していた薬局では、投薬時に一緒に数量確認してサイン(念書?)をもらっている患者もいました(笑)

今後高齢者の数はどんどん増えますし、今も昔も、この問題は薬局業界永遠のテーマといえますね。

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