2015年4月27日月曜日

患者からの規格外の要求にどこまで応えるべきか?


嚥下困難の患者に対し、錠剤しか存在しない医薬品を粉砕して散剤として調剤するのは薬剤師としての責任ですし、それが薬剤師の職能のひとつでもあります。

しかし、中にはおかしな要求をしてくる患者もいます。「一包化の必要性は薄いのに一包化してくれとゴネる」というレベルではなく、そもそも規格外の要求です。

私が遭遇したケースをいくつかご紹介します。


◯◯(帳票類)要らない


例えば「いつも同じ薬だから説明書は要らない」とか「薬の袋ひとつにまとめてくれ」とかですね。中には「何も要らんから薬だけくれ」みたいなツワモノも。

まぁわかるんですが、患者名や用法用量など必要事項を記した薬袋や薬情は渡すよう法で定められているんですよね。もしこれで用法用量を間違って何か不都合が起こった場合、誰が悪いか?理屈で考えれば「それを希望した患者の自己責任」なんですが、「渡すべしと法で定めているのにそれを怠った薬局」になるでしょうね。変な話ですが。

対策としては、そうした要求を一切受け入れずすべて渡した上で、投薬口にゴミ箱とシュレッダーを設置しておき「帳票類が不要の方はこちらをご利用ください(ご利用は自己責任で)」と書いておくとか。これで薬局としては確かに渡したわけですからね。

でもこれくらいの要求なら普通はそこまでせずに、薬歴の特記事項に控えておいて対応している薬局が多いかと思います。


一包化した袋に粉薬をホッチキスで留めて



こんな感じ。

一包化した薬たちと同時に服用する(例えば)カマグなどの粉薬を、ひと袋ひと袋ホッチキスで留めてほしい。こんな要求です。

これはまぁ薬剤師の仕事の範疇かなと思います。もちろんそんなことを言ってくるくらいですから、この患者は高齢で認知能力が低下していることが予想されます。そうでない患者が「ふたつ以上の袋から出すの面倒じゃん?くっつけといてよ」というのとは違うわけです。「服用遵守の手伝いは薬剤師の仕事」かと思います。


PTPシートすべてに縦の切り込みを入れて


通常のPTPシートは10錠で一枚であり、横に切れ目は入っているけど縦には入っていません。ゆえに2錠飲むごとに千切って捨てる、という感じ。


こうですね。

ハサミで縦の切れ目を入れたら1錠飲むごとに捨てれるようになる。でも5錠ずつに分かれると面倒だからギリギリのところで止めて。こんな要求です。

…え、自分でやればいいじゃん?って話ですよね(^^;

これは服用遵守とは関係なく、単に面倒の押し付けです。さらに言えば、投下する労力>後で節約できる労力、であり誰も幸せになりません。こういうのは控えていただきたいですね。

関連記事:内服薬のウィークリーシートに縦の切れ目はアリ?ナシ?


粉砕した粉薬をカプセルに入れて


「脱カプセルは自家製剤加算が算定できるか否か?」という話はさておき、「じゃあカプセルに入れるのは?」と聞かれたら多くの人は驚くでしょう。そう、そんなこと普通はやってません。

半量の規格があれば錠剤を割りますし、割り切れない力価なら潰して粉にしますし、錠剤ではなくカプセルなら脱カプセルします。すべて薬局薬剤師が行う手技として確立されていて、保険制度上も点数が定められ請求が認められています。

それを「カプセルに入れる」というのは驚きです。嚥下困難患者ですら粉で服用しますし味が気になるならオブラートないしゼリーを使います。それに比べてカプセルなんて喉にくっつくし手間だし作成過程で汚染の恐れもあるしメリットがなく、必然性がない。ゆえに制度はそれを想定していません。

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それでも個人の希望でカプセルを選択する自由はありますので、自分で入れるのがよろしいかと思います。錠剤の粉砕までは薬剤師がやってくれるので、その1回分ごとの袋に入っている粉をうまくカプセルに封入してください。

素人でも大丈夫、薬剤師でもそんなのやったことないので同じです(笑)

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「どこまでが薬剤師の仕事で、どこからが患者のワガママか」

この見極めと線引きが大事ですね。


関連記事:患者との間に必要な距離感 厚かましい患者に注意

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