2014年7月3日木曜日

東大阪市の生活保護受給者の”かかりつけ薬局”ではない薬局が処方せんを応需していいのか?


2014年4月からスタートした東大阪市の生活保護受給者の”かかりつけ薬局”制度。「早ければ2013年の8月には」との前評判でしたが、実際に動き出したのはこの4月のようです。

この制度、要は「生活保護の人が行く薬局を決めちゃおう」というもの。目的は建前が「適正な処方による受給者の健康管理」であり、本音が「医療扶助費の抑制」であります。

東大阪市に、あるいは隣接する地区にお勤めの薬局薬剤師は「またややこしいのが始まるのか」や「”かかりつけ薬局”かどうかなんてどうやって確認するんだ?」と心配している人も多いことと思います。

しかし、その心配は杞憂です。そして当制度は形骸化が運命付けられているので、本来の目的である「医療扶助費の抑制」も達成されません。

以下、まとめました。

関連記事:「後発医薬品調剤率の計算において生活保護は除外する」ってどうなったの?


1.確認証の持参が必須ではない


”かかりつけ薬局確認証”というものがあり、それを見れば「この人は東大阪市の生活保護受給者で、かかりつけ薬局は○○薬局」がわかります。かかりつけ薬局に指定されている薬局は処方せん応需の際にはその”確認証”を確認しなければいけない…

んですが、これは必須ではありません。というのも、患者が持参するとは限らないからです。というか制度を理解してきちんと持参する人は少数でしょう。


2.”かかりつけ薬局”以外の薬局での調剤も可能


もし”確認証”を持参していなくて”かかりつけ薬局”が不明な場合、あるいは”確認証”に違う薬局の名前が記載されていた場合、調剤していいのか?帰ってもらうのか?

調剤してOKです。もちろんレセプト請求も可能。ただし、「福祉事務所にご一報ください」とのこと。本人に”かかりつけ薬局”に行くよう指導が入るみたいです。



まとめると、「できれば指定薬局に行ってね、他の薬局でも大丈夫だけど」「あ、あと確認証も持って行ってね、なくても大丈夫だけど」ということ。



これ、意味あるんでしょうか?


こんな柔軟な制度では”かかりつけ薬局”が徹底されませんし、そもそも徹底されたとしても本来の目的である「医療費扶助費の抑制」に寄与するとはまったく思えません。

医療扶助費が生活保護費の半分近くを占めるほど大きいのは、「どこの薬局でも自由に行けるから」が原因ではないはずです。なのにこれを縛る意味があるはずもありません。

よく槍玉に挙げられる「複数の医療機関から向精神薬を処方してもらって大量に調達」みたいな行為は防げても、それって金額にして全体の何%でしょ?

結果、現場(主に福祉事務所)の仕事量のみ増えて得るものは何もない、まさに「骨折り損のくたびれ儲け」ってやつですね。



薬局としては東大阪市の生保患者でも通常通り受け付け、通常通り調剤券を請求、”かかりつけ薬局”指定患者ではないことが明らかな場合のみ福祉事務所に連絡、と務めを果たしましょう。というか、これ以上やりようはないですね。


「生活保護受給者には後発医薬品を使え」がマジで始まる?でも書きましたが、「生保患者が後発医薬品を希望しない場合は福祉事務所に連絡を(→本人に指導します)」とか、福祉事務所大変すぎでしょ。

「重複処方&調剤を防ぎたい」のであれば、お薬手帳共通番号制を利用した処方薬情報共有という手段があるし、「医療扶助費を抑制したい」のであれば(東大阪市だけの問題ではないですし)国と協議して定額負担金を導入するなり、先発医薬品差額自費負担方式を導入するなり、色んな手段があるはず。

「うちでできることだけでもやろう」という姿勢は立派ですが、明らかに効果がなく現場が疲弊するだけのポンコツ制度はやめてあげてください。

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