2013年4月5日金曜日

お薬手帳なんて本当はいらない(e-お薬手帳も同じ)

2012年4月にお薬手帳が実質義務化されて以来、薬局に行けば「お薬手帳はお持ちですか?」と聞かれ、持ってなければ渡され、さもなくばシールだけしれっと入れてある。国民皆お薬手帳政策もだいぶ落ち着いてきた感がありますね。

しかし以前お薬手帳の行く末でも書きましたが、本当はお薬手帳なんていらないんです。

「どうせ電子化しろって言うんでしょ」ですって?それも少し違います。

紙のお薬手帳がなぜ不要かは紙ベースお薬手帳普及策の愚でも書いたので割愛。そんなのは飛ばして、e-お薬手帳の是非について考えてみます。


地域薬剤師会や大手薬局チェーンなどで、独自にお薬手帳を電子化する動きがあるようです。例えば最大手のアインファーマシーズの開発するお薬手帳アプリはアインお薬手帳(Android)です。他にも探せばたくさん出てくるようですね。



背景としてスマホの普及はもちろん、紙のお薬手帳を渡さなくても薬剤服用歴管理指導料が算定できるようになったことがあるでしょう。国の助けを借りずともお薬手帳の電子化は可能にすら思えます。

しかし、問題がふたつ。


1.e-お薬手帳は所詮”電算化”であること


”電算化と情報化”については以下参照。

DIAMOND IT&ビジネス
改札を機械化する日本、改札をなくす韓国――情報化の本質とは何か
http://diamond.jp/articles/-/19218

要するに「紙でやってることをスマホでやるだけでしょ」ってこと。レセプトオンライン請求もそうで、紙を郵送してたのをオンライン送信にしただけ。本質的には何も変わってないんです。


2.スマホアプリは本当に必要な層には届かない


スマホを使いこなし、お薬手帳アプリを入れ、それを病院や薬局で見せることができる。そんな人たちに、そもそもお薬手帳って必要でしょうか?きっと今何を飲んでいるか薬名までしっかり覚えていますよ。助けが必要なのはこうした優秀な2割ではなく、そうではない8割。

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スマホはおろかガラケーすら使いこなせず、今何を飲んでいるのか、何の病気なのか、自分でしっかり把握できていない。お薬手帳の管理もおぼつかず、持ってくるのを忘れたり、シールを渡されても貼らない。なぜか病院ごとに手帳を分け、まとめようとすると怒りだす。そもそもお薬手帳の意味がわかっていない。患者の大半はこうした層、おそらく主に高齢者。彼ら彼女らにe-お薬手帳なんて絶対に届きません。


そもそもお薬手帳が必要なのは何故でしょう?当時はインターネットがなく、処方薬情報を共有する手段が紙ベースしかなかったからでしょう。今は違います。

つまり、インターネットをフル活用してクラウド医療システムを構築すれば、処方薬情報はおろか診療情報や検査情報、病歴やアレルギー歴、今現在有効な保険の有無、もちろん患者名や住所、連絡先も瞬時に共有可能。

電子化したところで”お薬手帳”は所詮”お薬手帳”なんです。
さて、本当に”お薬手帳”って必要ですか?