2013年9月25日水曜日

アサコールとペンタサの違い

アサコール錠400mg、一般名はメサラジン。潰瘍性大腸炎やクローン病に用いられる薬で、安倍首相が服用していることで一時期有名になったため医療関係者でなくても知っている人が多いかもしれません。

メサラジンの作用機序としては、以下の通り。添付文書より抜粋。

In vitroにおいてフリーラジカル(DPPHL)還元作用、過酸化水素消去作用、次亜塩素酸イオン消去作用、過酸化脂質抑制作用(in vitro、in vivo)が認められた。更にラット好中球でのロイコトリエンB4(LTB4)生合成を抑制した(in vitro)。

ペンタサ錠 添付文書
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/230109_2399009F1149_1_06.pdf

アサコール錠 添付文書
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/380077_2399009F3028_1_05.pdf

成分は共にメサラジンですが、どう違うのか?をまとめました。


1.pH7以上で溶けて薬効を発揮


ペンタサ錠はエチルセルロースの多孔性被膜でコーティングされていて、小腸から大腸までの広い範囲で薬剤が放出されるように調節されてはいるものの、大腸遠位部への効果がいまひとつだったようです。

アサコール錠はpH7以上で溶けるコーティングが施されていて、より下部の消化管(回腸末端~大腸)に到達してから溶けるようになっています。いわばペンタサ腸溶錠400mg、という感じですね。

同成分ながらDDSの工夫で新製剤とした製品のようです。ペンタサ錠の特許期間中に発売できたようで、そんなのアリなんですね。


2.クローン病の適応なし


病変部が主に大腸に限局している潰瘍性大腸炎と違い、口腔から肛門まで消化管全体に渡って病変部があるクローン病。pH7以上でないと溶けないということなので、ペンタサ錠に比べてアサコール錠では効果が不十分であることが予想されますね。当然ながら適応はありません。


3.用量が違う


添付文書記載の通常用量は

アサコール錠は2400mg/日
ペンタサ錠は1500mg/日

薬剤放出区間が短い分アサコール錠の方が低用量ならわかりますが、実際は逆。これは、アサコール錠の承認申請の際に海外での使用例(比較的高用量)を参考にしたこと、アサコール錠の方が吸収量が少なく全身性副作用が少ないこと、が理由のようです。安全性に問題のない範囲で効果を高めるため高用量を使う、という感じでタリビッドに対するクラビットと似ていますね。

関連記事:なぜクラビットの用量はタリビッドと同じなのか?

活動期には増量可能で、アサコール錠は3600mg/日、ペンタサ錠は4000mg/日との記載あり。


また、潰瘍性大腸炎に用いるもう一つの薬、サラゾピリン錠。一般名はサラゾスルファピリジン。腸内細菌にて5-ASA(5-アミノサリチル酸;メサラジン)とスルファピリジンに分解され、前者が薬効を示します。

用量は2000~4000mg/日とのことですが5-ASAになるのはこのうち約4割弱のようですので、メサラジンの用量としては800~1600mg/日ということになります。ずいぶん低用量ですが、”症状によっては8000mg/日”との記載があり、こちらだと3200mgになりアサコールやペンタサの用量に近付きますね。

そして”腸内細菌に分解されてから”とのことなので、アサコール錠と同じくクローン病の適応はありません。

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