2016年3月7日月曜日

私が仕事上のミスを名指しで怒らない理由


恒例(?)の、たまに聞かれるシリーズ。

仕事上で何かミスがあったとき、「なぜ名指しで指摘しないの?」あるいは「なぜ当事者じゃない人にもアナウンスするの?」です。おそらく聞いた本人としては後者の気持ちが強かったかと思われます。「私関係ないのに?」ですかね。

その理由を3つにまとめました。管理薬剤師をされている方の参考になれば幸いです。


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1.罪を憎んで人を憎まず


「その人自身の人格が問題なのではなく、その人のやった行動に問題がある」これを忘れてはいけません。

例えばAさんが投薬で処方せんを患者に渡してしまったケース。これはAさんがダメ人間であることを意味しません。あくまで「処方せんを渡してしまってはいけない」というだけのはず。なのにAさんの人格攻撃まで盛り込む人は意外と多いです。

正しくは、「処方せんを渡さないようにするにはどうすればいいか?」という問いを投げかけ(あるいは最初から解決策を提示して守らせ)、改善させることです。逆に、改善の妨げになる要素は徹底的に排除しましょう。

ミスから起こった事故の真相を究明する最良の方法は、「当事者を責めないこと」です。逆に最悪なのは「当事者を責めること」。責められるとわかれば誰しも隠蔽と言い訳に走りますからね、真相は闇の中かつ改善もされず、表面的な謝罪でお茶を濁すことになります。謝罪と屈服で気が済む幼稚で感情的な管理者がよくやる手法です。

「ヒトよりモノを主語にする」とは、先日読んだ『P&G式10の習慣』より。「(君は)何をやっていたんだ!?」ではなく「その要因は?」「あなたができたかもしれないことは?」と問うのです。

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2.情報共有


私が思うに、これが一番大事なポイントです。

例えば、新薬や向精神薬など処方日数制限がある薬なのに、何の但し書きもなくそれを超えて調剤してしまった場合。これはもちろん調剤や監査をした薬剤師の責任ですが、その人だけが反省して終わりではいけません。情報共有すべきです。

「新薬は14日まで」「向精神薬は品目によって14日、30日、90日まで」と知識としてはあっても、「こういうケースがありました、注意してください」とアナウンスすることでチーム全体に抑止効果を及ぼすことができます。あるいは、知識としてない人もいるかもしれません。

前述の「患者に処方せんを渡してしまった」というケースですら、それを共有することで「私も気をつけよう」と思わせ、しばらく強い抑止効果が働きます。

もし類似のケースが近日中に起これば、それはその当事者が悪いのではなく、情報共有しなかったことが悪いです。チームで容易に情報共有できるシステムを構築しておきましょう。LINEのグループトークなんかオススメですよ。


関連記事:「勤務中にケータイをさわるな」と「学校にケータイを持ってくるな」の相似点




3.他人事として聞いてほしくない


「◯◯さんが××しました」と名指しにすると、「あぁ、◯◯さんがミスしたのね、私には関係ないわ」と思いがちです。特に◯◯さんが仲良くない人だったりすると完全に他人事だったり。言うまでもありませんが、これではいけません。

あえて当事者を明かさず、ミスの内容のみをアナウンスすることで「誰にでも起こり得る」という印象を与えます。


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また、あるミスを誰がやったかが明らかでないケース。チームにミスの多い人がいると「どうせまたあの人なんじゃない?」とやりがちですが、叱責してから濡れ衣と判明すると非常にマズイことになります。上司は信用を失い、その部下のパフォーマンスはさらに下がる。この場合、やはり当事者をぼかすと一石二鳥ですね。

あと管理者自身のミスでも有効です。「私が××しました」「こういう点に気をつけてください」と解決策を並べても、やはり説得力がないですからね、ぼかしときましょう(笑)決して保身ではないです。改善の妨げになる要素は排除排除ォ!



「じゃあその人には注意しないの?」と言うと、もちろん個別にも注意します。ただし、周囲に他の人がいない環境で、です。あえて同僚の面前で叱責して自尊心を傷つける必要はないですからね。これも支配欲の強い、小さい人間がよくやる手法ではありますが…。


繰り返しますが再発防止が最重要であり、他は二の次です。極論すれば謝罪すら不要。気がすまないからと繰り返し謝らせて対策を講じないというのがよくある事例ですが、こういう人は管理者失格でしょう。

もちろん、あくまで仕事の話であり、対患者では薬局でのクレーム対応で書いた通り謝罪が重要です。混同しないよう注意。


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