2013年1月16日水曜日

薬局でのクレーム対応

クレーム対応は接客業共通の業務ですし私自身専門でも何でもないんですが、リクエストがあったので、僭越ながら私が思うクレーム対応について書きます。


薬局でのクレームと聞いて思いつくのは調剤過誤ですが、健康被害が出るような調剤過誤というのは実はかなり稀です。薬剤師のチェックで防げているというより、間違った薬を服用しても意外と大丈夫なものです(いえ、もちろん内容にもよりますが)。なのでここでは割愛します。

つまり、クレーム対応のほとんどは「医学的には問題ないが、間違ったことに対して怒っている患者をどうなだめるか」に尽きます。つまり一般の接客業とほぼ変わりません。

ポイントは大きくわけて3つ。


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1.まず患者に喋らせる


よくやる間違いが、すいませんすいませんと連呼し、何故間違ったかの理由(言い訳)をまくしたててスピード解決に導こうとする手法。これは場合によっては火に油です。「てめー俺の話を聞けよ!何終わらせようとしてんだ」と当然なります。

なので、まずは傾聴。相手の目を見ながら相づちをうち、神妙な面持ちで謝罪を挟みつつひたすら聞く。ガス抜きの役目も果たしますし、その人が特にどのポイントで怒っているかを掴んでください。

ただ、ここで注意しないといけないのは”卑屈になり過ぎないこと”。あくまで毅然とした態度で、誠意を持って謝罪をするのみで、「すいません何でもします」のような雰囲気を出すと無駄に長引く可能性あり。



2.なぜ間違ったのか聞かれてから説明する


ひとしきり言いたいことを言い終わったら、こちらにターンが回ってきます。多くの患者はガス抜き後、「何故こんなことが起こったのか」「間違った薬を飲んでも本当に大丈夫なのか」を聞きたがるので、聞かれてから答えましょう。聞かれていないのに話すと言い訳っぽくなるので注意。

説明の際はポイントを押さえ、順序だてて、簡潔明瞭に。「○○すべきところ”私どものミスにより”○○」という言い方を挟むのも効果的。



3.決して否定しない


患者の言い分が多少おかしくても、決して否定してはいけません。「おっしゃる通りです」と答えましょう。このワードはけっこう効果的で、「肯定された、自分の怒り・言い分は正しい」と感じることで怒りは収束に向かいます。

「○○さんの」を頭につけると特に効果的らしいです。小細工ですが。




クレーム対応で一番大事なのは何か?と聞かれたら、「初期対応」と答えます。火事と同じです。どんなに心強い消防車が後方に控えていても、燃え広がった後では消火に時間がかかります。


「小火のうちに消す」に勝る解決策はありません。


なお、この内容は以前勤務していた薬局でOJTにより身につけたものに、前職のマネージャー研修で教わった内容をミックスし、枝葉を省いて極限まで単純化したものの一部です。あとは文章に書ききれないこと、無意識に行っていること、忘れたこと(笑)、RPGや慣れが必要なことなど。


そもそもこういう右脳的業務は私の苦手とするところなんです。左脳的に、習ったことをそのままトレースしているだけで、無意識に行っている右脳的作業は自分自身自覚していないので他人に教えることができません。


きちんと身につけたい人は専門家の研修を受けるのをオススメします。こうした研修は薬剤師にとって、学術的な勉強よりも労力対効果が高いと私は思っています。残念ながら、外部の専門機関に依頼して研修しているのは大手くらいですが。






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