2014年10月20日月曜日

ビタミンの役割と欠乏症、摂取するのに最適な食品は?


患者さんから相談されることが多い、ビタミン。サプリメントで摂取している方、処方されている方、健康増進目的で「何食べればいい?」と聞いてくる方、「このビタミンって何してくれるの?」と聞いてくる方。

薬剤師として即答できないと恥ずかしいですよね。おさらいしてみましょう。


まずは水溶性ビタミンから。余剰は尿中に排泄されます。

【ビタミンB1】チアミン


糖質の代謝に関与。欠乏すると脚気とかつては言われていましたが、現代では滅多に起こりませんね。一日所要量は1mg前後。

ビタミンB1を多く含み摂取しやすいオススメ食品は、豚肉、豆類、卵黄。豚肉と卵を日常的に食べ、おやつにナッツ、酒のツマミに枝豆食べてりゃOKです。

ちなみにOTCだとアリナミンが有名ですね。
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成分名はフルスルチアミン。チアミンの活性型で、脂溶性を高めてあるので体内に長く留まります。チアミンはニンニクに含まれる硫化アリルと結合して活性型のアリチアミンとなることからヒントを得て開発されたとか。豚肉料理にニンニクを入れるのは合理的だったのですね。

【ビタミンB2】リボフラビン


脂質の代謝に関与。欠乏すると口内炎や皮膚炎になるので肌のビタミンというイメージ。皮膚科でよく処方されますよね。一日所要量は1.2mg前後。

ビタミンB2を多く含み摂取しやすいオススメ食品は、レバー、卵黄、納豆、牛乳、魚卵(イクラなど)、貝類。牛乳および卵入り納豆を日常的に食べ、焼肉に行けばレバーを、寿司屋に行けばイクラやウニを、あとたまにシジミかアサリのお吸い物でも。

OTCで有名なのはチョコラBBでしょうか。
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成分を見るとわかりますが、実はOTCのアリナミンはビタミンB1以外のB郡をほぼすべて含みますし、チョコラBBも同じくです。これは売り方の違いなだけですが、プラセボ効果は意外と馬鹿にできないのでアリだと思っています。

【ビタミンB6】ピリドキシン


アミノ酸の代謝に関与。腸内細菌により合成されるので欠乏することはほとんどありませんが、抗生物質の乱用により腸内細菌叢が乱れた結果欠乏状態が続くと神経伝達に弊害が生じることもあるようです。一日所要量は1.5mg前後。

【ビタミンB12】シアノコバラミン


核酸の合成や造血に関与。欠乏することはほとんどありませんが、ベジタリアンの胃切除患者では起こり得ます。野菜や果物などには含まれていないため、動物性食品の摂取にて。一日所要量は2.0μg前後。

医薬品ではサンコバ点眼液やメチコバールが有名ですよね。眼精疲労や神経の痺れに、はたして効果のほどはどうなんでしょう?

関連記事:サンコバ点眼液が遮光保存じゃなくなりました

【ビタミンC】アスコルビン酸


皮膚間組織、つまりコラーゲンの生合成などに関与。欠乏すると壊血病を発症。かつて船乗り病と言われていましたが、柑橘系の果物を船荷に積んでおくとパタリと止んだとか。ほとんどの動物は体内で合成できますが、人間は外部から摂取する必要あり。一日所要量は100mgとされていますが、失われやすいので200でも300でも摂るといいです。

ビタミンCを多く含む食品は野菜や果物なんですが、水溶性かつ熱に弱いので失われやすいです。熱にもある程度耐えるイモが意外とオススメ。

そしてビタミンCと言えばコレ↓ですよね。堂々の一位。
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どうでもいいですが、コレ↓タケダじゃなくなったんですね。

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諸説ありますが、粘膜の正常化にも関与するので風邪の予防になるとか、欠乏状態が続くと老化が早くなるとか、ストレスで減る→耐ストレス効果があるとか、抗酸化作用で活性酸素がなんとかかんとか。


続きまして、脂溶性ビタミン。

【ビタミンA】レチノール


眼の細胞に使われます。欠乏すると夜盲症を発症しますが、現代ではむしろ過剰摂取が問題になります。一日所要量は2000IUないし600μgRE。

ビタミンAを多く含む食品は、緑黄色野菜やウナギ、そしてレバー。妊婦はウナギとレバーは避けたほうがいいでしょうね。催奇形性があります。

そういやかつて栄養状態が悪かった頃の名残で↓こんなの配ってましたよね。
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なお、βカロテンとはビタミンAの前駆物質(プロビタミン)であり、体内でビタミンAに変換されます。

【ビタミンD】


骨吸収に関与するビタミン。欠乏するとくる病や骨軟化症に。一日所要量は200IUないし5.5μg。

ビタミンDを摂取するなら、干しシイタケと魚介類、そして日光浴。

医薬品だとアルファロールやエディロールが有名ですね。

関連記事:エディロールカプセルは超アルファロール?何が違うの?

【ビタミンE】


ビタミンCと共に抗酸化ビタミンと呼ばれ、活性酸素の除去を担っています。また、動脈硬化の予防や脂質代謝、生殖機能にも関与しているようで単純ではありません。一日所要量は10mg α-TE前後。

ビタミンEを摂取するなら植物油、つまりナッツがオススメ。あと卵黄。

かつては「脂溶性ビタミンながら過剰症はない」と言われていたはずですが最近は問題視されているようで。何事も過ぎたるは猶及ばざるが如しですね。

関連記事:ユベラ錠50mgとユベラソフトカプセル200mgの違い


以上です。
日々の業務にお役立てください。


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