2015年5月15日金曜日

院内薬局を実現したい勢力のキャンペーンが雑すぎる件


まだまだ業界の人しか知らないかもしれません。政府が検討している規制緩和の一環として、「病院内への薬局の出店を認めよう」という動きがあるようです。

というか、「薬局の施設基準として病院とは構造的に独立していなければいけない」というルールは規制だったのか、知らなかったな。ではそれを緩和することは良いことだと。斬新〜





↑のFNNニュース、記事内容を見る限りでは院内薬局と院内処方の区別がついていません。

【調剤薬局が病院の外にある場合】
処方箋料など病院に支払う金額のほかに、調剤料など薬局に支払う金額が発生するため、合計すると、3,250円となる。

【病院の中に薬局がある場合】
処方箋料など病院への支払いのみで済むため、合計すると1,500円となる。


わかります?前者も後者も場所は違えど薬局はあるわけですから調剤料はかかるはずなのに、後者には調剤料が発生していません。

とすると、これは院内処方のことでしょうか?でもそれだと”処方箋料”は発生しないはず…。



「院内薬局の方が安い」は大ウソ


どこに薬局があろうが、”処方箋料”を病院に支払い、それを持って薬局に行くということは、薬代に加えて”調剤料”も支払う、ということです。

”調剤料”を支払いたくないのであれば、処方箋を発行しない院内処方になります。


院内薬局の出店権利争奪戦でえげつない賄賂合戦が始まる


もし”院内薬局”が解禁されればどうなるか?もちろん、出店権を争って賄賂が飛び交うでしょうね。製薬会社が医師に支払っているお金が透明化されていっているのに、また発展途上国みたいな野蛮な文化に逆戻りですか。


そもそも「かかりつけ薬局」制度との整合性は?



まだ検討段階ですが、ホームドクターのように薬局を指定してそこで一元管理する仕組みになるのかな?大病院の門前に乱立する薬局や、門内薬局とは対極に位置する制度であり、「どっちだよ」と言わざるを得ません。



ひょっとして、厳しい医療財政の中診療報酬引き上げを要求してくる医師会に対して「院内薬局を許可するので薬局から好きなだけ毟って」というお上の苦肉の策なんでしょうか…。


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