2015年5月11日月曜日

小児用量は体重増加に伴い成人量を超えないよう頭打ちになる


小児用量が設定されている医薬品の用量換算の際、気をつけなければいけないことがあります。タイトルの通りですが、実は途中で頭打ちになります。

考えてみれば当たり前なんですが、その天井が品目によってやたら低いところにあったりして、うっかり失念することも。

気付かず疑義照会すると恥をかくので注意。例を挙げます。

関連記事:ヨクイニンエキス錠/散の小児用量


例1.アレジオンドライシロップ


アレジオンドライシロップ1% 添付文書pdf

通常、小児には1日1回0.025~0.05g/kg(エピナスチン塩酸塩として0.25~0.5mg/kg)を用時溶解して経口投与する。ただし、1日投与量はドライシロップとして2g(エピナスチン塩酸塩として20mg)を超えないこと。

10kgなら2.5〜5mg
20kgなら5〜10mg
30kgなら7.5〜15mg
40kgなら10〜20mg
50kgなら12.5〜25mg

これは正しいですか?

いえ、「20mg/日を超えないこと」とただし書きがあるので25mgはダメですね。成人が飲むはずの錠剤も20mgですし。天井がずいぶん高いところにあるので間違いは起きにくいかと思われます。


関連記事:アレジオンドライシロップの投与は3歳から?1歳から?


例2.セフゾン細粒


セフゾン細粒小児用10% 添付文書pdf

通常、小児に対してセフジニルとして1日量9~18mg(力価)/kgを3回に分割して経口投与する。

10kgなら90〜180mg
20kgなら180〜360mg
30kgなら270〜540mg

これは正しいですか?

いえ、成人が服用するカプセルが100mg×3なので、300mgは超えないはずですね。セフゾン細粒は16.6〜33.3kg以上だと成人量になります。ただ、上限についてのただし書きは無し。


例3.タミフルドライシロップ


タミフルドライシロップ3% 添付文書pdf

通常、オセルタミビルとして1回2mg/kg(ドライシロップ剤として66.7mg/kg)を1日2回、5日間、用時懸濁して経口投与する。ただし、1回最高用量はオセルタミビルとして75mgとする。

20kgなら80mg/日
30kgなら120mg/日
40kgなら160mg/日

これは正しいですか?

いえ、「最高用量は75mg/回」とただし書きがあるので160mgはダメですね。成人が飲むはずのカプセルも150mgですし。タミフルドライシロップは37.5kg以上だと成人量となります。


例4.バルトレックス顆粒


バルトレックス顆粒50% 添付文書pdf

単純疱疹:通常、体重10kg以上の小児には体重1kg当たりバラシクロビルとして1回25mgを1日2回経口投与する。ただし、1回最高用量は500mgとする。

10kgなら500mg/日
20kgなら1000mg/日
30kgなら1500mg/日

これは正しいですか?

いえ、「最高用量は500mg/回」とただし書きがあるので1500mg/日はダメですね。バルトレックス顆粒は20kg以上だと成人量となります。人によっては小学校高学年くらいから大人と同じ量です。



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当然ながらこのような品目は他にいくらでもあります。「この子の体重は◯kgなので、この薬だと力価にして◯mgのはずですけど?」と疑義照会して「え?成人量を超えていいんですか?」と言い返されて恥をかかないようにしたいですね。


関連記事:疑義照会の際に気をつけるべき3つのポイント