下剤として用いられる酸化マグネシウム。化学式はMgOとシンプル。当然ながら太古の昔からある薬で、先発医薬品と後発医薬品の境目も曖昧なくらいです。
錠剤としてよく使われている(と思う)マグミット錠やマグラックス錠も実は後発医薬品で、じゃあどれが先発医薬品なんだ?というと、酸化マグネシウム「○○」あるいは重カマ「○○」と名乗っている散薬がそのようで。つまり「粉→先発、錠剤→後発」と覚えておいて間違いないようです。
さて、そんな酸化マグネシウムの粉で面白いものを見つけたのでご紹介。
分類としては後発医薬品らしいです。
酸化マグネシウム細粒83%「ケンエー」 添付文書
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/260024_2344009C1039_1_01.pdf
ポイントを3つ。
1.原末ではなく83%細粒
2.レモンフレーバー
3.服用時のざらつきが少ない
1について
例えば以下のような処方
Rp1) 【般】酸化マグネシウム 1.0g
分1眠前 30日分
原末なら計30gですが、83%(正確には83.3%)細粒なので計36gです。ややこしいので用量対応表を使いましょう。MRに依頼すればもらえるはず。
2について
酸化マグネシウム特有の不快な味を極力抑えるべく、レモンフレーバーを加えているようです。味ではなく香りです。
3について
局方品と比して粒子径が小さいため水に崩壊しやすいようです。沈降性も緩やかで懸濁状態を維持しやすく、その結果服用時のざらつきが少ないとか。
以上です。
コモディティ中のコモディティである酸化マグネシウムなのに面白い試みだなと最初は思いました。が、悲しいかな薬価は以下の通り。
酸化マグネシウム細粒83%「ケンエー」:13.6円
重質酸化マグネシウム「ケンエー」:14.7円
一見前者の方が安く見えますがコレは83%細粒、0.83で割ると16.4円。高くなってしまいます。そしてマグミット錠の薬価は250mg、330mg、500mgすべて5.6円、マグラックス錠も同じくです。
「どのみち二束三文だしどっちでもいいじゃん」と言えばそうなんですが、つまり利益もその程度ってことも意味しています。
「錠剤がダメで粉がいいんだけど飲みにくい」そんなニーズにお答えするのがこの商品…応援したいけどちょっと厳しそうです(^^;
方向性としてはOTCを狙った方がよかったかも?
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