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薬学部の就活「この世の春」「6年制特需」ドラッグストアが積極採用
2年ぶりに薬学部の卒業生が社会に出てきていますね。「空白の2年間」が終わり、ほどなくして薬剤師冬の時代がやってくる…と、言われていますが、はたしてどうでしょう?
私の予想をQ&A方式で書いてみました。
Q.空白の2年間が終われば薬剤師の人手不足は解消されるか?
A.Yes
ただし「人気のある地域から順々に」かつ「大手薬局or病院から順々に」です。都市部は今以上に充足して買い手市場になり、地方や中小ローカル薬局に人手が行き渡るのはもう少し先の話。
6年制がわらわら大手or都市部に入社し、そこからあぶれた人が中小or地方に流れてくると思います。
Q.今後転職は難しくなるか?
A.Yes
何せ薬剤師の総数が激増しますから。ただ、上で書いた通り「人気のある地域から順々に」です。出身地が地方なら、今のうちにそちらに転職して足場を固めておくのも手かもしれません。
Q.今後薬剤師の給与は下がるか?
A.Yes
個別はさておき、全体平均は下がるでしょう。薬価の切り下げ、調剤報酬の見直し、薬剤師充足のトリプルパンチです。ただ、業界全体として収入が増えない以上ジリ貧になるのは他の業界も同じです。
Q.じゃあ薬剤師はもう終わりか?
A.No
上で書いた「人手の充足は人気のある地域から」と同じく、「終わるのはレベルの低い薬剤師から」です。そもそも、そうした人でも生き残っていけた今までが異常だったのです。相対的にレベルの高い薬剤師にとってはチャンスですらあるかもしれません。
もし、前者を生かしたまま後者の首を絞めるような会社に勤めていることがわかったときは、さっさと他を探しましょう。早い方がいいです。それが自分のためですし、長い目で見れば業界全体のためにもなります。
Q.6年制が出てきたら4年制はお払い箱になる?
A.No
確かに6年制は2年多く在学していますし、病院実習を半年やっていますが、薬局の業務内容が変わらない限り6年制にアドバンテージはありません。むしろ実務経験が長い4年制の方がよほど有利です。院卒の社会人経験ゼロの人よりも、学部卒の社会人三年目の人の方が一緒に働きたいはずです。
Q.でも6年制ってものすごく勉強してるでしょ?
A.No
もちろん個人差はあるはずですが、全体平均レベルは間違いなく下がります。数の充足は質の低下を必ず招く。ひと昔前は、薬学部といえば私立でも偏差値60オーバーが当然でしたが、薬学部乱立後は50未満の大学とか平気であります。第一薬科と言えば業界では有名なアレな大学でしたが、これからはそんなの珍しくもなくなるはず。偏差値がすべてとは思いませんが、「6年制の薬剤師は勉強してる」とも思いません。
まとめると、
・ 薬剤師の待遇の”全体平均”下落は避けられない。
・ 人手の充足は”人気地域・大手薬局・病院”から。
・ 終わるのはレベルの低い薬剤師から。
・ 中小・地方はしばらくの間、質の低い人材の流入に悩まされる。
・ 4年制と6年制の間に、それを理由とした待遇の違いは生じない。
2年前の記事ですが
参考記事:薬剤師の転職についてアドバイス