「薬剤師なんて錠剤を数えて輪ゴムで束ねてるだけじゃん」という批判はさておき、そんな「錠剤を数えて輪ゴムで束ねる」のにも各人各様のやり方があるようで、ときには流派の違いから言い合いになることもあったりなかったり。
唯一絶対の正解はありませんが、ある程度のところまでは数学的により有利だと言えるルールはあるように思います。
個人的見解をまとめてみました。
1.シートを抱き合わせで束ねる
こうではなく↑
こう↓
前者の方が錠剤が見えるメリットはあるんですが、例えば60錠のとき「10、30、50、60」と4STEPで数えるのに対し、後者なら「20、40、60」と3STEPです。ましてや56錠のときなんて以下略
2.端数をまとめるのは片面のみ
こうではなく↑
こう↓
共に28錠ありますが、前者は一見してそれがわからないのに対し、後者は一目瞭然です。
さらに前者は、輪ゴムを外すときに裏に留めてある錠剤を押さえながらでないと吹っ飛んでいくこともあるのでまったくオススメできません。え?そんなことにならないって?私たち薬剤師は毎日触ってるから慣れてるけど、不慣れな患者が吹っ飛ばすことは十分あり得ますよ。
また、後者の場合端はできれば2つまで、多くても3つまでにした方が無難かと。美しくないし、受け取った側がどう思うかはコントロールできないし、よく回転する品目であればそこまで無理して使い切る必要はないからです。
左から順に、優・良・可・不可です。
3.一錠をつくらない
これは業界ではだいぶ浸透してきていますよね。曰く、「老人の誤嚥防止」らしいですが、正直コレをこのまま飲む人はごくごく少数に限られるはず。渡す患者の年齢に限らず、そもそも作らないようにしているわけですから、むしろ「吹っ飛ばすリスク」を避けるためではないかと思います。
例えば
これ絶対ふっ飛ばしますよね。てわけで
左から順に、優・良・可・不可です。
また、良パターンのときにどの順に重ねるかですが…できれば10-5-6の順がいいと思います。この順だと5が両端からはみ出ていて、6は錠剤を目視可能ですからね。
10-6-5の順だと
このような誤りを見逃す確率が増すからです。
ひとまず以上で。
もう一つだけ言うなら、L字もつくらないでほしいですね。計数のしにくさ(正確には非L字と比較した計数速度のコンマ数秒の差)と、ハサミがオーバーランしていることが多く美しくないからです。こんな感じに↓
3錠が欲しいならまず6錠をつくり、縦にハサミを入れましょう。
仕事は常に無駄なく、美しくよ!
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