後発医薬品調剤率の計算方法が変わって早7ヶ月。皆さんの薬局で算定している加算は1でしょうか?2でしょうか?
薬剤師とはいえ雇われである以上、経営者ないしマネジャーから数値目標を言い渡されることもありますよね。最近特に話題になったのはお薬手帳ですが、今回は(今更ながら)後発医薬品の調剤率について。
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後発のない先発医薬品が計算から除外されたとはいえ、55〜65%あるいは65%以上とかなり高い目標設定になり苦しんでいる薬局も多いことでしょう。がむしゃらに率向上を目指す前に、「そもそも現実的に可能かどうか」をチェックしておくに越したことはありません。
1.後発医薬品調剤率を算出する
レセコンの集計機能を使って簡単に算出できます。例えば以下の通り。
①【全薬品】500,000.0000
②【後発のある先発+後発】320,000.0000
③【後発医薬品】200,000.0000
②/① = 64%
③/② = 62.5%
前者はいわゆるカットオフ値で、これが50%を超えていないと後発医薬品調剤体制加算はそもそも算定不可になります。この例ではクリアしてるのでOKと。
後者が後発医薬品調剤率ですね。55%以上65%未満なので、後発医薬品調剤体制加算1が算定できます。
65%以上だと加算2が算定できるので是非目指したいところですね。さて、ここからです。
2.後発医薬品調剤率を上げる方法を確認
図にするとこんな感じです。
③/②を上げるには③を増やすか②を減らすかですが、③を減らさずに②を減らすというのは「後発のある先発医薬品→後発のない先発医薬品」ということなので、現実的ではありません。また、後発のない先発医薬品については増えようが減ろうが率に影響しません。
ということで(当然ですが)、「後発のある先発医薬品→後発医薬品」を愚直に実行することになり、これを推し進めると①と②の値は変わらず、③だけが伸びることになります。
3.目標の%を達成するのに必要な数量を算出する
上記例で③/②=65%を達成するには
③ = ②×0.65 = 320,000×0.65 = 208,000
つまりこの例では、後発医薬品を数量にして8,000増やす必要があります。
ここで注意するのは、おそらく集計期間は三ヶ月とっているはずなので月あたりになおして考える必要があること。この例だと約3,000ですね。これを三ヶ月継続すれば四ヶ月後には65%達成です。
数量にして3,000というのは
5mLの点眼薬だと600本分。ざっくり体感で達成可能かどうか見えてくると思います。
25gの軟膏だと120本分。
1日3回飲む薬だと1,000日分。
きちんと計算するなら一ヶ月の品目別調剤数量を集計し、「後発のある先発医薬品(変更不可の×がついていないもの)」の合計数量がこれに届くかどうか確認してください。目標数量より遥かに低い数字が出てくるようなら潔く諦めましょう。気合や根性でなんとかなる問題ではありません。
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裏ワザとして「後発のある先発医薬品なのに変更不可の×がついている処方せんを片っ端から調剤拒否する」という手もあります。もちろん非現実的なんですが、そもそもコレを計算から除外していないのが大間違い。
「一般名処方が一品目でもあるとプラス2点」で一般名処方が普及しましたよね。次は「後発医薬品への変更不可の×が一つでもあるとマイナス2点」とかやってくれませんかね。
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