「薬剤師は数学と理科が得意な理系の中の理系」というイメージに反して、残念ながら力価計算が苦手な薬剤師は多いみたいです。これは、「薬剤師になるのは私立の薬学部出身が大半」ということと、「私立の薬学部には数学なしで受験できるところが多い」ことが原因です。つまり文系が相当数います。
とはいえ、別段難しい計算をしているわけではなく、中学までの数学の知識があれば余裕で解けるはずです。
自信のない薬剤師、やる気のある事務は参考にしてください。
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よくあるこんな処方。
Rp1)セフゾン小児用細粒10% 90mg(力価)
分3毎食後 5日分
10%というのは、セフゾン小児用細粒という医薬品1g中に含まれる成分が10%(つまり100mg)ということですね。
つまり90mgほしければ何g必要か?ですが
1g:100mg=?:90mg
?=0.9g
答えは0.9gですね。
もうひとついきます。
Rp2)ザジテンドライシロップ0.1% 1.2mg
分2朝夕食後 7日分
「単位がmgのときは記載がなくとも力価」という暗黙のルールがあります。言われなくても0.0012gなんて計測不能なので気付くとは思いますが(^^;
さて、ザジテンDSは0.1%なので1g中に成分が0.1%(つまり1mg)ということなので、1.2mgほしいなら1.2gですね。
シロップもいっときましょうか。
Rp3)ムコダインシロップ5% 300mg
分3毎食後 5日分
5%なので1mL中に50mgですね。もう計算飛ばします、6mL。簡単ですよね。
このように普通に計算してもいいのですが、裏ワザ(?)もあります。
医薬品の濃度(%)の数字を10倍して、それで力価の数字を割ってください。上記の理屈を理解せずとも一発で一日量が算出できます。
Rp1なら10%なので100、90÷100=0.9g
Rp2なら0.1%なので1、1.2÷1=1.2g
Rp3なら5%なので50、300÷50=6mL
こんな感じです。裏ワザというかタダの別解ですが、理屈を理解する必要がない事務さん用にレセコン周りに貼っておくといいですね。
種明かしをすると、
「1gあたり成分量がX(g)の医薬品を力価Y(mg)ほしいならZ(g)」とします。
1(g):X(g)=Z(g):Y(mg)
XZ=Y
Z=Y/X … ①
ここで、「1gあたりの成分量X」と「医薬品の濃度X’」との関係性ですが
X’=1%のとき、1gあたりの成分量X=10mg
X’=10%のとき、1gあたりの成分量X=100mg
X’=50%のとき、1gあたりの成分量X=500mg
すなわちX=10X’といえる。
これを①に代入すると
Z=Y/10X’
以上です。日々の業務にお役立てください。
このノリで「なぜ消費税が上がると薬価差益が圧迫されるのか?」を解明した結果が以下になります。
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