先日私宛てにこんなパンフレットが届きました。日本薬剤師会の会員のみが加入できる「薬剤師年金保険」とな?というか、私は会員だったのか。
「薬剤師会員のみが加入できる」というからには、さぞかし有利な制度なんだろうか?検証してみた。
公式はこちら↓
日本薬剤師会 薬剤師年金保険
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ざっくり解説すると
・ 保険料はひと口2,400円/月もしくは28,570円/年で何口でも
・ 5年以上の加入が必須(5年未満だと一時金支払い)
・ 加入年数と口数に応じて年金月額が決まる
・ 受け取りは65歳スタート、あとは死ぬまで
・ 途中で死亡しても15年までは遺族が受け取り
こんな感じ。
年金給付月額表はこちら↓
ひと口あたりの年金月額です。
「支払った分以上に返ってくるんでしょうね?」というのは当然の疑問ですよね。てわけで、(金利を一切考慮せずに)支払総額と給付総額を受給期間15年でプロットしてみた。
わお。加入年数に関わらず確実に元本割れ。つまり損しますね。
では何年受け取ると「元が取れる」んでしょうか?
18年受け取るなら加入年数35年以上で「元が取れる」かも。
21年受け取るなら加入期間に関わらず「元が取れる」可能性は高いです。
受け取りスタートは65歳と決まっているので、86歳以上長生きしないといけないわけですね。ちなみに日本人男性の平均寿命はようやく80歳に乗せたところです(女性は86歳)。平均寿命と平均余命の違いは割愛。
あくまで(金利や運用益などを一切考慮せずに)「元が取れるかどうか」という低レベルな計算なのに、この段階でここまで厳しい結果が出るなら検討に値しませんね…
そして、さらに厳しい現実が。
1.課税控除不可
”年金保険”と銘打っていますが、社会保険料控除はもちろん、生命保険料控除、個人年金保険料控除などの税控除の対象外です。公的年金はともかく、民間の年金保険ですら控除対象なのに…日本薬剤師会って…?
2.日本薬剤師会を退会すると脱退
会員のみの加入なので、当然こうなりますね。そして会員であり続けるには会費が必要なので…
3.保険料や給付額は可変
パンフレットの重要事項のお知らせ欄にて、「財政の状況に照らし、特定保険業の継続が困難となる場合には、保険料額の増額や給付額の減額を行うことがあります。」と記載。支払ったお金を取り戻すのすら厳しいのに…。それでも「100年安心」とか言ってる某年金制度よりは正直な点で好感は持てます。
結論。
日本薬剤師会の薬剤師年金保険は不要
税控除対象外、つまり税引き後のお金で年金を作るなら自分で天引き貯金なりインデックス投資なりやればいいし、何なら確定拠出年金(日本版401k)を使えば税控除対象、つまり税引前のお金で年金がつくれますよ。
ネズミ講は公的なやつで十分です、勘弁して下さい。