2012年9月7日金曜日

処方箋を持って行く薬局によって値段が違う件

調剤報酬も薬価も国が定めているので全国共通なのですが、”処方箋を持って行く薬局によって窓口で支払う値段が違う”ことはよくあります。これは何故でしょう?

調剤報酬点数表(平成24年4月1日施行)PDFファイル

上記の点数表を参照。点数設定は全国共通でも、どの点数を算定しているかが薬局によって違うから、が理由です。

これを利用して、できるだけ安く薬をもらう方法をご紹介します。随時点数表を参照して見ていってください。なお1点は10円で、合計額の3割が実際に窓口で支払う額になります。


1.基本料


受付の都度かかる基本料金。”薬局よって違う”原因のほとんどはここです。ポイントは3つ。

【”月4000回超かつ集中率70%超の保険薬局”か、そうでないか】
前者が24点、後者が40点。「大病院の前の薬局がおトク」は本当です。

【”基準調剤加算”を算定しているか、していないか】
”基準調剤加算”の説明は割愛します。通常、算定できる薬局であれば必ず算定しています。基準2(30点)は集中率(特定の病院からの処方箋割合)が高いと算定できないので、やはり大病院の前の薬局が安全。

医療ビルのようにフロアごとに違う病院がある場合は注意。すべて別病院という解釈のため集中率は低い→基準2を算定している可能性が高い。

【”後発医薬品調剤体制加算”を算定しているか、いないか】
後発品への変更に積極的な薬局は高い、ということです。先発品を処方し、後発品変更不可にチェックをつけるような大病院の前の薬局がいいですね。

それぞれどの点数を算定しているかは、一度その薬局で薬をもらい、領収書あるいは明細書をゲットすれば明らかになります。


2.調剤料


これは医師の協力が必要になるので難易度高。ポイントは2つ。

【日数を減らす】
処方日数が長いほど点数は上がるので、これを減らします。

ガスター錠10mg 1錠 分1寝る前 28日分

ガスター錠10mg 2錠 分2朝食後寝る前 14日分

【飲み方を統一する】
飲み方の種類が多いほど点数は上がるので、これを減らします。

アレジオン錠20mg 1錠 分1夕食後 14日分
ラシックス錠40mg 1錠 分1朝食後 14日分

アレジオン錠20mg 1錠 分1朝食後 14日分
ラシックス錠40mg 1錠 分1朝食後 14日分


3.夜間休日加算


平日は19時以降、土曜日は13時以降、日祝は終日、これらの時間帯に薬局に行くと40点取られるので日を改めましょう。なお病院の場合、平日は18時以降、土曜日は12時以降、日祝は終日、50点取られます。


4.その他加算


これも医師の協力が必要なので難易度高。
水剤、散剤、軟膏剤を混合するとそれぞれ35点、45点、80点、服用する薬をシートから出して一袋にまとめる”一包化”は7日分ごとに30点取られます。混合、一包化しなかったことによる不利益と天秤にかけて、納得できるなら断りましょう。


5.ジェネリック医薬品


今更ですがジェネリック医薬品とは、”特許が切れた医薬品のコピー医薬品”のこと。モノにもよりますが先発品に比べて半額以下になるものも。薬剤師の協力が必要になるので薬局で相談を。

なお、ジェネリック医薬品に対して偏見を持つ薬剤師も中にはいます。この場合素直に他の薬局で相談する方がいいでしょう。窓口で押し問答を続けても時間の無駄になる可能性が高いです。

参考記事:薬剤師がジェネリック医薬品を推進すべき3つの理由



注意を三点。

病院の近くの薬局だと処方箋に記載されている薬はすべて揃うはずですが、それ以外の薬局に行くと途端に難しくなります。よほどメジャーな薬のみ出ている場合を除き、取り寄せが必要になる可能性は高いです。面倒なら病院の近くの薬局に行くのが無難です。

また、全体に占める薬剤費の割合が低いか高いかで作戦は変わります。これは領収書を見ればわかります。薬剤費が何点、総点数が何点と書いてあるはず。もし薬剤費比率が低いのであれば1〜4はアリですが、高いのであれば5に注力しましょう。

あと、「薬の説明書要りません」と言えば安くなったのははるか昔の話なので、もうそろそろやめてください(笑)