2012年10月15日月曜日
なぜクラビットの用量はタリビッドと同じなのか?
既存薬の光学異性体を抽出して新薬とした例で、最も有名なのは第一三共のタリビッド錠100mg→クラビット錠100mgでしょう。抗菌活性を示すS体のみを抽出し、抗菌活性を示さず副作用の元になるR体を排除した素晴らしい医薬品です。
最近ですとGSKのジルテック錠10mg→ザイザル錠5mgですかね。副作用の眠気を軽減したスーパージルテックというわけです。10mg→5mgと用量が半分になるのは、R体とS体の等量混合物(ラセミ体)から一方の光学異性体を抽出した当然の結果です。
しかしタリビッド→クラビットは用量に違いはありません。これは一体どういうことでしょうか?
タリビッド錠の添付文書より抜粋。
通常、成人に対して、オフロキサシンとして1日300~600mg(3~6錠)を2~3回に分割して経口投与する。
対してクラビット(後発品であるレボフロキサシン錠「日医工」より)
通常,成人に対して,レボフロキサシン水和物として1回100mg(錠:1錠又は細粒:1g )を1日2~3回経口投与する。
DIに問い合わせたところ、クラビット300mg(力価)はタリビッド600mg(力価)と等価であり、光学活性体抽出により副作用が軽減できたので、基本用量をクラビット300mg(=タリビッド600mg)と設定した、とのこと。
要するに、タリビッド錠100mg→クラビット錠50mgとすることもできたけど、安全性が向上したし多めに飲んでおこう、ということですね。
既に500mg錠が主流になり、100mg錠は発売中止(後発品のみ取り残し)されている今となっては今更な内容ですが、気になったので調べてみました。
そういえば、光学異性体を抽出したはずなのに用量が同じ新薬といえば他にネキシウムカプセルがありますが、こちらはクラビットのような正当な事情はなし、完全に詐欺新薬(笑)です。
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