緑内障治療薬であるキサラタン点眼液は冷所保存というのが常識ですが、どうやらそうでもないらしい?調べてみたのでまとめておきます。
キサラタン点眼液(開封後)
30℃で4週間経過後、主成分の含有率低下は認められず。
キサラタン点眼液(未開封)
25℃で3ヶ月経過後、主成分の含有率低下は認められず。
25℃で6ヶ月経過後、主成分の5%減少が認められた。
まとめると、30℃までなら室温でも4週間保つが、本来の使用期限である3年保たせるためには冷所保存が必要。
なぜ4週間かと言うと、”開封後4週間経過した点眼薬は雑菌混入の恐れがあるため廃棄する”というのが原則だからです。
つまり
1.30℃以上の高温を避ける
2.開封後4週間経過した点眼薬は廃棄する
3.遮光保存
以上を守る限りにおいて、室温保存は可能。
(薬局としては冷所保存で)
同じく冷所保存のジクロード点眼液はどうでしょう?
ジクロード点眼液(未開封)
30℃で18ヶ月経過後、主成分の含有率低下は認められず。
ジクロード点眼液(開封後)
30℃で1ヶ月経過後、主成分の含有率低下は認められず。
つまりキサラタン点眼液と同じく、開封後の室温保存は可能。
(薬局としては冷所保存で)
さらに一昨年冷所保存ではなくなったレスキュラ点眼液は?
レスキュラ点眼液(未開封)
25℃で36ヶ月経過後、主成分の含有率低下は認められず。
40℃で6ヶ月経過後、主成分の含有率低下は認められず。
なるほど、これは薬局でも室温保存できますね。極端な高温と直射日光を避けるのはもちろんですが。夏は終日クーラーつけっぱにすべき?
なぜ冷所じゃなくなったかというと、処方変更があったようですね。
変更前のデータが気になったのでこれもDIに聞いてみると
レスキュラ点眼液(処方変更前)
15℃で36ヶ月経過後、主成分の含有率低下は認められず。
30℃で6ヶ月経過後、主成分の含有率低下は認められず。
40℃で6ヶ月経過後、主成分の含有率低下、pHの低下が認められた。
なるほど、これは冷蔵庫いきですね。納得。
参天製薬ナイス処方変更です。
ここまで書いておいて何ですけど、医薬品は冷所保存するに越したことはありません。主成分の分解(含有率低下)は低温ほど進みにくいし、冷蔵庫内なら必然的に遮光保存にもなるからです。室温の方がいい、光が当たる方がいい薬なんて存在しません。点眼薬に限らず、錠剤や粉薬も冷蔵庫での保存が実はベストなんです。
唯一、開封後のインスリンだけは室温保存する意義があります。凍結防止と、冷たいインスリン注射による痛みを防ぐためと、注入器の不具合を避けるためです。
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