今更ですが、大阪市による新婚世帯への家賃補助が、昨年より縮小されています。ソースはこちら。
どういうものかを簡単に説明すると、大阪市に住所を有していて、かつ新婚である世帯に対し、最大で1.5万円(4年目からは2万円)補助金を支給するというもの。私も市内に住んでいた頃はお世話になりました。
これが2012年4月以降、新規の申し込みを停止しています。補助金の支給が最長6年なので2018年に終了する、とのこと。
「経済的弱者である現役世代に対して補助打ち切りなんて!」と言いたいところですが、私はちょっと違う意見を持っています。
短期的には確かに、現役世代に対する補助打ち切りです。しかし長い目でみれば、これは家主補助の打ち切りとも言えます。
入居者への家賃補助は、実は家主補助?
もし家賃補助がなかったらどうなるでしょう?
経済的弱者の若者世代は、とにかく家賃の安い物件を探すでしょう。治安が多少悪かろうが、築古だろうがお構いなし。どんなにいい物件でも、家賃が高いと見向きもされません。
空室続きの家主は、諦めて家賃を下げ始めます。すると、家賃に連動して物件の価値も下がります。家主には痛手ですが、いい物件に安く住める入居者には嬉しい。
そもそも住む人が減り、収入も減っているのだから本来こうあるべきなのです。
さて、家賃補助があるとどうなるでしょう?
経済的に苦しい若者でも、それなりのグレードの物件に入居することができます。例えば、本当は10万円払わないといけない物件に8万円で住めたりします。補助金が2万円支給されるからです。
かくして家賃の下落は阻止され、物件の価値も維持される。入居者もいい物件に住めてめでたしめでたし?
そんなわけないでしょ。補助金って元は税金ですよ。
つまり、本来変革するべき業界、あるいは潰れるべき会社に対して、公的資金を注入することによりゾンビのように生きながらえさせる日本のお家芸。しかも財源は税金。
これが住宅市場でも行われている、ということです。
”若者世代への補助金”という皮をかぶった”家主(主に老人世代)への補助金”なのです。
そういう意味では、家賃補助なんてなくなってよかったと思います。まだ物件指定で若干続いているようですが(PDF)。おそらく公社が所有している物件に限って継続していると思われます。そりゃいきなり取り壊すわけにもいかないしね。将来的に売却して制度自体終了してほしい。
また、大阪府住宅供給公社による特優賃というのもあります。こちらは補助金の振り込みではなく、支払い家賃の軽減。家主に差額分が振り込まれているようです。上記のように新婚などの条件はなしですが、物件が指定されます。
「家主補助だったとしてもどの道税金が使われているんだ、少しでも取り返さないと。」という、大阪府在住の若者世代にオススメ。
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