子どもの発熱によく使われる、カロナール坐剤。あるいはアンヒバ坐剤。あるいはアルピニー坐剤。(一般名:アセトアミノフェン)
「座薬が早くてよく効くのよ」とは言いますが、本当にそうでしょうか?確かに直腸からの投与は肝による初回通過効果を回避するため、バイオアベイラビリティも高いとは思いますが、早いかどうかは…?
データを見てみましょう。
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カロナール坐剤100/カロナール坐剤200 添付文書pdf
まずは坐剤。Tmax=0.9±0.1hrなので、約1時間。
カロナール細粒20%/カロナール細粒50% 添付文書pdf
続いて細粒。Tmax=0.43±0.23hrなので、30分足らず。
予想に反して細粒の方が吸収は早い。しかも差は倍以上。
これは、カロナール坐剤の基剤であるハードファットにより吸収が遅れるのと、アセトアミノフェン自体が非常に吸収の早い物質であるため。
ゆえに、内服が可能な状態であるなら細粒の方が早いし楽チン。吐き気がある、内服を嫌がるなどの場合においてのみ坐剤の出番、という感じですね。
念のため他の坐剤も見てみましょう。
アンヒバ坐剤小児用50mg/ アンヒバ坐剤小児用100mg/ アンヒバ坐剤小児用200mg 添付文書pdf
Tmax=1.60±0.16hrなので、約1時間半ちょい。
アルピニー坐剤50 (50mg)/アルピニー坐剤100 (100mg)/アルピニー坐剤200 (200mg) 添付文書pdf
Tmax記載なし。インタビューフォームのP11によると、2〜3時間。
また、「肝臓による初回通過効果を回避するのでバイオアベイラビリティは高い」とはいっても、内服と坐剤で力価を変えるという処方は見たことがありません。たいてい1回量は体重(kg)×10(mg)ですよね。
これも、アセトアミノフェン自体が非常に高いバイオアベイラビリティのため、初回通過効果による力価の目減りがほとんどないため、らしいです。
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