2013年4月19日金曜日

自家製剤加算を算定できる?できない?

自家製剤加算とは、処方箋に基づき錠剤などを半錠に割る、あるいは粉砕して散剤として調剤する際に算定できる加算のこと。(他のケースもありますが、割愛。)内服薬であれば、7日分ごとに20点が算定できます。

○○錠0.5錠と書いてあれば「あ、ワリだ」とわかりますし、○○錠0.4錠と書いてあれば「あ、ツブシだ」とわかりますよね。

さて、その薬って自家製剤加算を算定できますか?条件は何でしょう?

保健薬局業務指針〈2012年版〉

薬事日報社
売り上げランキング: 61,623


【錠剤の割り】

割線があるか? と 半分の規格が発売されていないか?


調剤料 (11) 自家製剤加算 オ
割線のある錠剤を医師の指示に基づき分割した場合は、錠剤として算定する。ただし、分割した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合は算定できない。

割線がなければ問答無用で算定不可ですので、まずはこれ。

続いて半分の規格が発売されていないかどうかです。例えば8mg錠を0.5錠で調剤する場合、4mg錠があるなら算定不可。ないなら算定可です。

よく聞かれるのが、「散剤がある場合はどうなの?」ですが、算定できます。上記の通り、同一規格の医薬品があるかどうかの記述しかなく、散剤については言及していません。


【錠剤の粉砕】

散剤が発売されていないか?


調剤料 (11) 自家製剤加算 イ
本加算に係る自家製剤とは、個々の患者に対し市販されている医薬品の剤形では対応できない場合に、医師の指示に基づき、容易に服用できるよう(中略)行った次のような場合であり、既製剤を単に小分けする場合は該当しない。
(イ)錠剤を粉砕して散剤とすること。(以下略)

例えば

チラーヂンS錠50μg 0.4錠
分1朝食後 35日分

という処方。

市販されている医薬品の剤形では対応できないでしょうか?いや、できますよね。チラーヂンS散0.01%があります。なので同一成分の散剤が存在する場合、自家製剤加算の算定は不可です。

また、散剤がなくとも0.5錠(粉砕)という指示、かつ半分の規格が存在する場合も算定不可になりますね。

関連記事:チラーヂンの不思議な薬価設定


算定できるかできないかは本来0か1かなので、「解釈に地域差がある」はずがありません。そんなふうに言われるのは、第一に杜撰な審査(というか機械化自動化されていない審査)。第二に明確な基準を打ち出せていない行政の怠慢と言えますね。

算定できないはずのケースでもレセプト請求が通ってしまうのはよくあります。いつか審査が完全に機械化されるまではこんな曖昧な状態が続くでしょう。


また、これら算定要件について、個人的におかしいと思うことが三つ。

ひとつ。割線があるかどうか=均一性が保証されているかどうか、らしい。となると、これは加算の算定要件というよりは、分割調剤の可否の条件とすべきところではないでしょうか?それでも医師の指示に基づいて割るのであれば、加算の算定に問題はないはずです。

ふたつ。半分の規格があっても薬局の独断で変更はできません。病院に変更願いをしても、「採用品目の都合で変更不可」と言われるのはよくあること。”採用品目”などという不思議な論理はさておき、「半分の規格があるなら算定不可」とするのであれば、薬局の独断で半分の規格への変更が認められてしかるべき。

みっつ。錠剤の粉砕の場合も上記と同じく、散剤があるからと薬局が勝手に変更できるわけではありません。薬局の独断変更を認めるか、粉砕すれば無条件で算定可にするかのどちらかにすべき。


現状、唯一薬局の独断変更が認められるのが後発医薬品(ジェネリック医薬品)です。ラシックス錠40mg0.5錠と書いてある処方に対し、病院にお伺いを立てることなく、フロセミド錠20mg「○○」1錠にて調剤が可能。

私が後発医薬品を好きな理由のひとつです。


将来的には先発医薬品でもこれを可能とし、究極的には一般名処方義務化&用量力価記載になってほしいですね。

関連記事:後発医薬品普及はこれからも薬局主導で