薬局での医薬品店舗間移動で押さえておくべき7つのポイントの続き。
大型のA店と小型のB店。
必要な品目は、例えばラックビー微粒N。1008包入りの大包装。
A店は月に一箱近く使い、B店で新規に処方が来て84包必要。
A店とB店はある程度離れていて、徒歩での移動は不可とする。
この前提において、表題の件について考えてみましょう。
結論から言ってしまうと、これは非合理的です。明らかにB店が自分で発注して購入するべきです。理由は以下の通り。
1.自店の仕事を他店に押し付けない
”薬を梱包し期限lotを添付して送る手間” と ”届いた薬を使う手間” どちらが大きいでしょう?当然前者ですね。
自店で発生した仕事において他店に何か負担をお願いする場合は軽い方を渡す、というのは当然。これは礼儀とか以前に効率性の問題です。
もし、C店とD店とE店が現れてA店に同じ要求をしたらどうか?と考えるとわかりやすいと思います。
2.自店だけではなく会社全体で考える
A店からB店に薬を送ると、在庫率の上昇を回避して節約できたように見えます。特にB店単体で見るとそれが顕著。
ただ、来月になるとA店はその品目を発注しますし、今後もぐるぐる回転します。対するB店は、その品目が処方されるたびにA店に配送依頼をかける必要があり、そのすべてで配送費に加え、店舗間移動の労力をほぼすべてA店に押し付ける形になります。薬剤師の時給×準備に要する時間=いくら?
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ゆえにB店が自分で発注し、在庫しておく方が合理的ですね。”部分最適全体最悪”の罠にハマらないように。
3.近隣店舗からの分譲や分割発注という手も
そもそも、自社の他店舗から調達する以外の選択肢もあります。
ラックビー微粒Nの薬価は6.2円/g。84gで520.8円。薬価差益が10%とれるとすると、額にして52円。配送費すら下回ります。
こうなると薬価差益を捨てて近隣店舗から分譲してもらった方がいいですね。薬局の利益構造で書いた通り、薬価差益は重要ではありません。技術料、つまり処方せんを受け付けることが大事なのですから。
また、分割発注という手もあります。これが可能な卸は限られるので、取引卸に必ず入れておきこういうシーンで使えるようにしておきましょう。
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ぶっちゃけ配送とか受け取りとか、正直面倒ですしね。やらないに越した事はありません。処方がきたら患者に待ってもらって分割発注、あるいは必要最小限量在庫しておき不要になったら廃棄、というのが一番ローコストで高効率。
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