2012年6月22日金曜日

パキシルCR錠が発売 押さえるべきポイント

グラクソスミスクライン(以下GSK)社より、パキシルCR錠が発売。
薬価は12.5mgが105.6円、25mgが184.7円。
発売後すぐに長期投与が可能。
添付文書はこちら(PDFファイル)

パキシルCR錠の発売日とパキシルの後発品の発売日が、共に本日。
日本全国で争奪戦が繰り広げられていることでしょう。

さて、パキシルCR錠の押さえておくべきポイントは3つ。


1.消化器系の副作用が軽減されている

徐放錠なので血中濃度の上昇が穏やかなため。

2.適応が”うつ”のみ

従来のパキシル錠にはあった”社会不安障害”や”パニック障害”などの適応はなし。

3.普通錠と用量が違う

従来の10mg錠や20mg錠とは違い、12.5mgと25mgです。


なお、CR=controlled releaseの意。

徐放錠にするだけでパキシルにはつきものだった消化器系の副作用が低減できるなら素晴らしいですね。じゃあ今までのパキシル錠はもういらない?

ところがどっこい、CR錠は適応が”うつ”のみ。同じ薬なのに剤形の違いだけで適応が違うだって?ていうか何で用量が違うの?

いろいろ気になったのでGSK社のDIに問い合わせてみました。



雅「なぜ適応がうつだけなのか?」
GSK「承認申請の早期化を狙って適応をひとつに絞りました。」

雅「では今後、適応追加の予定は?」
GSK「ありません」

雅「パキシルの使用例は大半がうつ?割合はどれくらいか?」
GSK「その通り。データはなし」

雅「なぜ規格が10mgと20mgではなく12.5mgと25mgなのか?」
GSK「徐放錠にしたことにより肝初回通過効果を強く受ける、そのため用量を増やしてAUCを同等にした。」


以上です。



用量違いにはちゃんとした建前があるのですね。
クラビットもそうでしたけど、特許防衛も手が込んできましたね^^;

しかし適応を後追いで取らないのはどういうことでしょう?「承認申請の早期化を狙って」のことなら、当然他の適応症を(ゆっくりでもいいから)取るはずです。

社会不安障害やパニック障害の人は(副作用が低減できたスーパーパキシルがあるのに)従来のパキシルや後発品を服用しろということ?
我々(GSK社)が一番おいしいところ(うつ)を頂くので、後発品メーカーには余りもの(他の適応症)をあげるよ、ということ?


株式会社である以上、「承認申請の手間とコストを考えると他の適応症はペイしないから」という理由はわからないでもないですが、明らかに下位互換の薬を放置し、社会全体で無駄を作り出しているGSK社には好感が持てません。

そしてジルテックドライシロップの0.2g包装はいつ発売するんですか?
参考記事:製薬会社の不当な儲け方