今更かよ⁉︎とは思いますが、ようやく見直されるなら大歓迎です。漏斗とか使うわけないし。チェーンだと開局セットとして全国回されてたりするよね。 / Reading:調剤薬局 計量器具一部ほとんど使われず NHKニュース http://t.co/9v8OmJvgDO
— 雅 (@miyabi0929) 2014, 10月 14
先日のツイートより。記事では「適量ごとに分けた薬が流通するようになった」ために「「メスピペット」と「メスシリンダー」が、実際には全く使われていない」とのことですが、これは2つの点で事実と大きく乖離しています。ひとつは使われていない器具の範囲、もうひとつはその理由。
必要な物品たちは以下の通り。薬局等構造設備規則より抜粋。
十三 次に掲げる調剤に必要な設備及び器具を備えていること。
イ 液量器(二〇cc及び二〇〇ccのもの)
ロ 温度計(一〇〇度)
ハ 水浴
ニ 調剤台
ホ 軟膏板
ヘ 乳鉢(散剤用のもの)及び乳棒
ト はかり(感量一〇ミリグラムのもの及び感量一〇〇ミリグラムのもの)
チ ビーカー
リ ふるい器
ヌ へら(金属製のもの及び角製又はこれに類するもの)
ル メスピペツト及びピペツト台
ヲ メスフラスコ及びメスシリンダー
ワ 薬匙(金属製のもの及び角製又はこれに類するもの)
カ ロート及びロート台
ヨ 調剤に必要な書籍(磁気デイスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。)をもつて調製するものを含む。以下同じ。
ひとつずつ見ていきましょう。
1.液量計(20ccと200cc)
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20ccと200ccというチョイスはさておき、これは必要ですよね。シロップ剤は「適量ごとに分けた薬が流通」しているわけではありませんので。
余談ですが、本来メートグラスであってメートルグラスではないんですけどね。m=メートルとは何の関係もないですし。
2.温度計
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医薬品の保存上の問題がありますので、これも必要ですね。特に冷蔵庫に温度計が設置されていないと抜き打ち監査で指導が入るので注意。
3.水浴
ごく一部の薬局製剤を作る薬局以外は不要かと思います。
4.調剤台
これは器具というか備品ですよね。なくすこともできなくもないですが、いちおう必要ということで。
5.軟膏板
皮膚科処方で軟膏のミックスに対応するため、必要ですよね。
6.乳鉢と乳棒
散剤を混合する際に必要ですよね。
7.はかり(感量10mg、100mg)
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↑というのは冗談で
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さすがに今だと電子天秤ですよね。もちろん必要です。
8.ビーカー
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これは不要ですよね。本来ビーカーはメートグラスのように正確に体積を計るためのものではありません。ゆえにビーカーである必要性が高い用途はありません。
9.ふるい器
おそらく行政としては↑のような形態を想定していると思いますが、実務ではこんなの↓を使っていることが多いのではないでしょうか?どちらにしても、粉砕調剤の際に必要ですよね。
10.へら(金属製、角製またはこれに類するもの)
散剤の調剤に必要ですよね。
11.メスピペットとピペット台
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記事にもありましたが、これは完全に不要ですね。どこの薬局がシロップの瓶にメスピペット突っ込んで必要量吸い出してるんだって話。
そして不要である理由は「適量ごとに分けた薬が流通するようになった」ためではなく、「メートグラスでの調剤が主流だから」です。次の12も同様。
12.メスフラスコとメスシリンダー
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実験ごっこをしないのであれば不要ですね。
13.薬匙(金属製、角製またはこれに類するもの)
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散剤の調剤時に必要ですよね。
14.ロートとロート台
一部の薬局製剤を作っている薬局を除いて、不要です。
15.調剤に必要な書籍
こういうのでしょうか?まぁ必要ですよね。
以上です。
また、タイトルに「開局時に必要な」と書いたのは、これらすべてが必要なのは新規開局時の立ち入り検査時のみだからです。ツイートにも書いた通り、チェーン店だと新規開局の店に次々と回され決して使われることのない、対行政アイテムに過ぎないものが含まれています。
参考リンク:日経DI ONLINE 総務省、薬局にメスピペットは不要
上記記事より抜粋。
メスシリンダーについては、使用頻度が高い薬局に調査をしたところ、構造設備規則で定められている20mLと200mLの二種類よりも、30mL、50mL、100mLの方がよく使われていた。調査対象となった薬局では、現場の実態にあった設備、器具に変えて欲しいと要望している。
「現場の実態にあってない」という点は同感ですが、「それに合わせて規定してほしい」はまったく同意できません。mustな部分のみを最小限規定し、枝葉については現場の裁量に任せるのが良いかと。(例えば容量の規定は不要。)
適正に見直されることを期待しています。
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