製薬企業が儲からなくなると新薬ガーは本当か?の続き。製薬会社にお勤めのつらおさんからツッコミをいただきました。ありがとうございます。
@miyabi0929 製薬企業側の言い訳としては、研究開発費ランキングの上位はメルク等製薬会社が多い。対売上高比でR&Dをみると二桁%と他製造業の倍以上。って感じです。
— 吊られた男 (Forza Milan) (@tsurao) 2015, 5月 27
だそうです。
The top innovators and spendersを見ると、2014年実績R&Dで5位にロシュ、6位にノバルティス、8位にJ&J、10位にメルク、13位にファイザー、16位にサノフィアベンティス、19位にGSKと、製薬会社がてんこ盛り。(J&Jは広いですが)
確かに研究開発費支出において製薬業界の存在感は相当なものですね。
しかしこれは単純に支払った額の多寡であり、市場規模が大きければそれだけ絶対額も大きくなります。例えば1兆円の利益をあげている企業が研究開発費に10億円投じるのと、100億円の利益をあげている企業が10億円投じるのと、額は同じでも意味合いがまったく異なります。
製薬企業が儲からなくなると新薬ガーは本当か?の論旨としては、「利益が減ると研究開発費が捻出できない」と言うからには高い比率で研究開発費を投じているのか?ということでした。今回は他業種とも比べてみましょう。
決算期間は直近のものです。
【トヨタ】
売上総利益4,324,399(百万円)に対する研究開発費が910,517(百万円)なので、売上総利益に対する研究開発費の比率は約21%。
【三菱ケミカル】
売上総利益707,401(百万円)に対する研究開発費が1,342(億円)なので、売上総利益に対する研究開発費の比率は約19.0%。
売上総利益97,578(百万円)に対する研究開発費が13,360(百万円)なので、売上総利益に対する研究開発費の比率は約13.7%。
【味の素】
売上総利益355,738(百万円)に対する研究開発費が31,962(百万円)なので、売上総利益に対する研究開発費の比率は約9.0%。
【ファナック】
売上総利益223,787(百万円)に対する研究開発費が18,372(百万円)なので、売上総利益に対する研究開発費の比率は約8.2%。
【日本ガイシ】
売上総利益100,619(百万円)に対する研究開発費が12,060(百万円)なので、売上総利益に対する研究開発費の比率は約12.0%。
このへんで。
銘柄選定についての異論は絶賛受け付けます。
一部しか見ていませんが、どうやら「製薬会社の研究開発費は他業種と比べても高い比率である」のは事実のようですね。
かといって高い薬価を正当化するのに十分な理由とは私は思いませんが。
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