2015年8月20日木曜日

2015年2月にノベルジン錠が発売、ウィルソン病についてざっくりと

ノベルジン

ウィルソン病の治療薬であるノベルジン(一般名:酢酸亜鉛)は今まではカプセルしか販売されていませんでしたが、2015年2月23日に新剤形として錠剤が発売されました。公式は以下。

ノーベルファーマ株式会社 ノベルジン錠新発売のご案内(pdf)

ウィルソン病って知ってます?いわゆる希少疾患であり、治療薬もオーファンドラッグのため高薬価。そもそも記憶していないか、扱ったことのない人が多いかと思います。

ざっくりと知っておきましょう。

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【ウィルソン病とは?】


一言で言うと、「銅が排出できない病気」であります。その結果体内に銅が蓄積していろいろ悪さをする、というイメージで。そもそも銅が”鉄分”と同じく微量必須元素であり、造血に寄与していることを知らない人も多いかもしれません。

様々な食品に含まれていて通常欠乏することはありませんが、ウィルソン病の人はこれを排出できないため避ける必要があり、食べてはいけない食品が多数あります。甲殻類とか貝とかレバーとか。困ったことに銅を多く含む食品は鉄も多く含むことが多く、これを避けることで慢性的な貧血になることも。

常染色体劣性遺伝性の疾患ではありますが、突然変異で発症することもあるとかないとか。幼少期に肝障害から発覚することが多いようです。

いくら低銅食を続けても排出ができないわけですから、どうしても蓄積してしまいます。ゆえに必ず薬物療法と併用です。どちらが欠けても生きていけません。


【治療薬は?】


現在発売されている治療薬は以下の3種類。

メタルカプターゼカプセル200mg 添付文書pdf

メタライト250カプセル 添付文書pdf

ノベルジンカプセル25mg・50mg/錠25mg・50mg 添付文書pdf

「銅の排出促進」か「銅の吸収を阻害」か。

メタルカプターゼカプセル(一般名:D-ペニシラミン)とメタライトカプセル(一般名:塩酸トリエンチン)は、血中の銅とキレートを形成して排出を促進。ノベルジンカプセル(一般名:酢酸亜鉛)は消化管内にて銅の吸収を阻害します。

胃内に食物があると薬の作用が減弱するので必ず空腹時に服用。つまり間食も控える必要があります。

第一選択薬はキレート形成作用が強いメタルカプターゼですが、副作用が強いためメタライトになることも。ノベルジンはまだ発売されて10年経っていないようですが、副作用が少ないことから病状安定後はこちらに切り替わることも多いようで。シェアはどんなもんなんでしょうね?


薬価は以下の通り。

メタルカプターゼカプセル200mg:116.2円
メタライト250カプセル:289.7円
ノベルジンカプセル・錠25mg:269.5円
ノベルジンカプセル・錠50mg:422.3円


【錠剤に変わるメリット】


カプセルは喉に貼り付いて服用しにくいが、錠剤は飲みやすい

カプセルは単独分包する必要があり持ち歩く際にかさばるが、錠剤ならシート状で数錠持ち歩くだけでよい



食べてはいけない食品が多数あり、間食もしてはならず、薬も生涯飲み続けなければならない。そんな人生楽しくない!と傍目には見えますが、患者本人はわりと適応しているようです。糖尿病も似たようなものですし。ルールを破れば致死的なところも含めて。

健常人がこんなこと言うのも何ですが、「将棋の駒の動かし方」みたいなものです。歩はひとつ前にしか動かせないし、銀は横には動かせない。これを「不自由だ」と嘆くも、「ルールだ」と理解してその通りゲームを進めるも、それはその人次第です。


上記のような生活を痩せるために30万円払って実行する人もいれば、私のように素でこなしている人もいるし、「筋肉のためにササミとブロッコリーしか食べない」というもっと極端なルールを自分に課す人もいて、人生いろいろですねぇ。


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