2012年7月16日月曜日

消費税逆ざや問題に薬価上げは効果なし

消費税増税で薬局が潰れる?の続き。

逆ざや問題を解決するために挙がる案のひとつ「薬価を上げる」
実はこれは、まったく効果がありません。

実際に計算してみるとそれがわかりますので、以下参照。
算数が苦手な方は計算式を読み飛ばしてご覧ください。


まず前提から。
「薬価には消費税が含まれている」という解釈らしく、かつて消費税を加味するべく薬価上げがあったらしい(年配のMSさん談)。事実、次回の消費税UPの際には同率での薬価上げが予定されているようです。

税抜き薬価をx、税率をyとすると、公定薬価は (1+y)x
消費税率 y の上昇に連動して、薬価 (1+y)x も確かに上昇しますね


さて、値引率を13%とすると、仕入値は 0.87x(1+y)

ここに消費税がかかります
税込み仕入値は 0.87x(1+y)^2 ですね


税込みの仕入値と薬価がイコールになる、つまり損益分岐点を調べます。

0.87x(1+y)^2 = (1+y)x

両辺を(1+y)で割ると
0.87x(1+y) = x

両辺をxで割ると
0.87(1+y) = 1

両辺を0.87で割ると
1+y = 1/0.87

y = (1/0.87) - 1

y ≒ 0.15

よって損益分岐点は約15%です。
前回書いた通り、15%以上になると逆ざやになります。

上記の計算では仕切率を0.87にしていますので、ここが変われば答えも変わります。

仕切率と損益分岐消費税率の関係

プロットしてみた。
仕切率の引き下げに伴って消費税増税への耐性が高まります。

余談ですが、ある方法で値引率20%とか30%とか可能みたいですね。


【結論】
消費税増税に対抗できるのは薬価上げではなく、仕切率の引き下げ




しかし、何か違う気がしますね。
もちろん真の解決策は他にあります。

続きはこちら→消費税逆ざや問題の真の解決策
次で完結です。