某健康保険組合から電話がありました。
「○○さんという方のレセプトの件ですけれども」
この手の電話、だいたいがレセプト返戻のお知らせなんですよね。
ほとんどの薬局はおとなしく話を聞いて「じゃあ送ってください」で済ましていると思います。実はこの返戻、断ることが可能です。
まず業界人以外の人のために、レセプトについて簡単に説明。
薬局や病院などの医療機関は、調剤や診療などの対価として調剤報酬・診療報酬を受け取るわけですが、ほとんどの場合、全額を患者から徴収することはありません。健康保険のおかげですね。
3割なり1割なりその人に定められた”窓口負担率”に従って患者から徴収し、残り7割なり9割を当該健康保険に請求します。その請求明細書のことを”レセプト”と読んでいます。
この”レセプト”に不備があり、突き返されることを”レセプト返戻”といいます。再請求できる内容ならいいですが、それができない場合不良債権となります。
説明ここまで。
レセプト返戻には様々なケースがあります。
患者名や性別、保険番号の入力間違い、被保険者・被扶養者の別など患者情報の間違いはもちろん返戻対象ですが、これらはすべて修正後再請求が容易です。担当者によっては「直しておきますね」で済むケースもあるので、ご機嫌をとってみましょう(笑)
薬局が頭を悩ませる返戻はおそらく、”無効な保険”でしょう。つまり、請求した保険番号が実は無効で、新しい保険情報がわからない限り再請求できない、という状態です。
さて本題。
断ることができる返戻とは。
1.患者が実は既に無効な保険で受診し、調剤を受けた
2.病院・薬局では患者が持参した保険証を確認している
3.その保険が実は無効であることは保険証からはわからない
以上3点に該当するケースです。
つまり、医療機関側に非がなく「保険証を回収していない保険組合が悪い!」と言えるケースということですね。
もちろん保険証を返さずに病院に行ってる患者が一番悪いんですが、それを薬局がかぶる必要はありません。無効な保険証の回収義務は保険組合にあるのできちんと責任取ってもらいましょう。
事前に電話で確認がある場合は口頭で、いきなり返戻を送ってきたときは”同意しない”に○をして理由を書いて返送すればOK。
うまくいけば保険組合から患者本人に直接請求がいくことになります。薬局が請求するよりよほど効果があるでしょうね。是非お試しあれ!
ただし、患者への連絡が容易である場合や、新しい保険情報がわかっている場合などは素直に返戻をもらい、再請求しましょう。上記はあくまで不良債権化が避けられないレセプトに対する最後の手段です。
また、この技を使うには”保険証を確認していること”が必須になるので注意。
関連記事:薬局でも保険証を確認しませんか?