ジェネリック医薬品(以下、後発品と記載)は実はあまり儲かりません。「薬局は後発品に変更することで儲かるらしい」という誤った認識をお持ちの方を見かけるので、シミュレーションしてまとめました。
先発品の薬価を100、後発品の薬価を50と仮定します。
値引率を10%とすると、薬価差益はそれぞれ
先発品 100×0.1 = 10
後発品 50×0.1 = 5
両者の値引率が同じである限り、後発品は必ず先発品に負けます。
もちろん後発品比率を上げた方が、薬剤師がジェネリック医薬品を推進すべき3つの理由でも書いたように、利益”率”が向上するのは確かです。仕入が減り、後発医薬品調剤体制加算が算定できて技術料比率が上がるわけですから。しかし利益の絶対額だけを見るなら、依然先発品の方が有利な状況。この問題が後発品普及を阻む障壁になっています。
これを改善する方法は、当然といえば当然なんですが
後発品メーカーに対して値引き交渉をすること
です。
後発品メーカーも上記の問題は理解していますので、わりと交渉に応じてくれます。もちろん既に購入している品目に対して「安くしろ」と言うのではただのヤカラです。
新規採用を検討している品目について、複数社に相見積もりを依頼し、「この率なら買います」と持って行く方がスマートかと。
こんなの作ってみました。↓
先発品/後発品の薬価差益表
後発品を何%引きで仕入れたら先発品に負けないかが一目でわかる表になっています。
例えば先発品を12%引きで仕入れている薬局で、先発品の半額の後発品を採用しようとするとき、薬価比率50の行を見てください。薬価差益が12になる値引率が分岐点です。つまり24%以上の値引率が必要、という感じですね。よければご活用ください。
また、先発品に比べて薬価が2〜3割と非常に安い銘柄については、薬価差益で勝つのは不可能であることも当然あるはずです。その場合は薬価差益を取るのか、後発品調剤率を取るのか、他の要素も考慮して決めてください。
重大な注意点をひとつ。
「全商品加重平均で○%の値引率」という仕入条件の場合、値引き交渉した後発品だけは切り分けて計算するように卸にお願いしておきましょう。さもないと、せっかく交渉して30%引きで仕入れていても、加重平均に埋もれて利益を卸に取られてしまいます(笑)
当たり前のことですが、念のため。
もうひとつ。
消費税に注意してください。卸によっては、消費税込みの値段で値引率○%と言っているところもあります。その場合20%値引きと言えば本当に薬価差益20%ですが、そうではない場合の20%引きは(消費税5%なら)実は薬価差益15%です。後者が多いと思います。
仕入伝票や請求書をよく確認しましょう。
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