2014年1月13日月曜日

確定拠出年金(日本版401k)についてまとめてみた


正直やる気がなかったのであんまり知らない確定拠出年金(401k、DC)。ちょっと検討がてら調べてみたのでまとめておきます。趣旨としては「普通にインデックス投資をするのと比較してどうか?」です。

通常のインデックス投資は
税引後のお金で
利益に対してときには税金を払いながら殖やしていき
売却時にも税金を払う
確定拠出年金は
税引前のお金で(税控除が受けられて)
利益に対しても非課税で殖やしていき
売却時に初めて税金を払う

各段階でのメリットや支払うコストについて見ていきます。


1.拠出時の税控除


ラーメン屋さんが売上1000万円あり、かかった費用が900万円だと、残った利益100万円に対してのみ税金がかかります。個人でも同じ。

確定拠出年金に拠出した額分、すべてがこの費用のように控除が認められるので、それだけ支払う税金が安くなります。

例えば毎月2万円の拠出なら年間24万円で、所得税率10%なら住民税の10%と合わせて20%なので、24万円×20%=4.8万円の税控除メリットがあります。(所得税分は年明けの確定申告によって還付され、住民税分は来年の支払いが少なくなります。)
 5%+10%:12,000円還付、24,000円住民税軽減
10%+10%:24,000円還付、24,000円住民税軽減
20%+10%:48,000円還付、24,000円住民税軽減
23%+10%:55,200円還付、24,000円住民税軽減
33%+10%:79,200円還付、24,000円住民税軽減
40%+10%:96,000円還付、24,000円住民税軽減
どの税率で課税されるかは課税所得によります。以下参照。

国税庁 No.2260 所得税の税率
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm


2.運用時にかかるコスト


国民年金基金に100円/月、事務委託先金融機関に63円/月、この二つは必ずかかります。さらに運営管理機関ごとに異なる手数料がかかりますが、SBI証券なら残高が50万円以上なら無料なので、最安値は163円/月ですね。

通常のインデックス投資と比べると本来ないはずのコスト。私はこれを「投資信託の販売手数料のようなもの」と捉え、(毎月の拠出額が23,000円なら)0.71%の販売手数料を毎月支払う、と考えます。(「毎月逓減していく信託報酬」という捉え方もできますが、これだと比較しにくい。)


あと、運用益に対して確定拠出年金では当然非課税ですが、通常のインデックス投資でもほぼ非課税での運用が可能です。分配型の投資信託やETFを使っている場合はさておき、再投資型の投資信託であれば配当などの運用益は内部で再投資されて投資家には分配されないので税金はかかっていません。

ただ、投資信託の無分配がずっと継続できるかどうかについては微妙なところらしく、私が保有するファンドも以前分配金を出してしまいました。つまり税金取られました。

インデックス投資日記@川崎
SMTインデックスシリーズ 6ファンドが設定来初の分配金を出す
http://longinv.blog103.fc2.com/blog-entry-1114.html

今後どうなるのか目が離せませんね。


3.受け取り時に支払うコスト


受け取りを分割払いにすると年金所得として雑所得に区分され、あとは通常通り所得税が課税されます。給与所得控除の代わりに以下の控除があります。

国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1600.htm

ここでの強みは2点。

ひとつは、30年以上かけて現役時代に支払うはずだった所得税を、60歳以降まで繰り延べできたこと。(「受け取りは早い方が良く、支払いは遅い方がいい」の原則。)

もうひとつは、所得税の累進性によって実際に支払う税金が安くなること。普通は現役時代よりも老後の方が低所得なので、低所得者のように優遇された税率になります。


あるいは退職金のように一括で受け取ることも可能で、その場合は退職金控除が使えます。ここでの”勤続年数”は確定拠出年金の”加入年数”です。

国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1420.htm

他の所得とは分離課税で、大きな控除があり、さらにそのうちの半分にしか所得税がかかりません。相当優遇されていますね。これは確定拠出年金が優遇されているというよりは、退職金制度の優遇によります。


私のオススメは一括での受け取りです。上記のように税金的に有利だし、(運営管理機関にもよりますが)振込手数料を毎月取られることにもなります。

あるいは「引き出してしまうと配当や売却益に対して20%の税金がかかる、年金形式でちょっとずつ引き出す方が税率が低くて良い」というのもアリだと思います。


投資は自己責任で。


関連記事:NISAより確定拠出年金(401k)の方がよくね?