2014年1月29日水曜日

2014年(平成26年)4月診療報酬改定(案)7つのポイント

今のところあくまで改定案ではありますが、現時点での重要なポイントをまとめておきます。薬局薬剤師の方は参考にしてください。

また、最近話題の以下文章にも目を通しておいた方が、方向性が理解しやすいかと思います。

薬局の求められる機能とあるべき姿
http://www.jsphcs.jp/cont/14/0107-1.pdf


1.後発医薬品調剤率の計算方法


前々回の改訂では枚数ベース→数量ベースとなり、前回の改訂では「○%以上」の基準が変わりました。今回は「後発医薬品が発売されていない先発医薬品が計算から除外」され、「○%以上」の基準も現行の三段階から二段階に変わるようです。

厚生労働省 後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002z7fr-att/2r9852000002z7it.pdf

平成30年3月までには60%を目指すそうな。改訂から丸4年で、ということですね。何%を基準にするのか未定のようですが、だいぶ高めに設定してくることが予想されます。

変更不可の×がついている品目も計算から除外してくれないかな?


2.調剤基本料の特例の見直し


現在4,000枚/月を超える大規模薬局の調剤基本料は24点(通常40点)と冷遇されていますが、24時間営業をしていると例外的に40点になり、基準調剤加算1の算定もできるようになるかも?

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035826.pdf#page=226

京都の某刑務所、もとい薬局なんかは大喜びの改訂ですね。


3.妥結率に介入


要するに卸との価格交渉ですね。なかなか折り合いがつかないままズルズルと”仮価格”で取引を続けているような状態を「妥結率が低い」と言います。

今回の改訂では毎年9月時点での妥結率が○%以下の薬局は、調剤基本料を○点に減点する、という内容。何%か?何点か?は未定のようです。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035826.pdf#page=230

話はわからないでもないんですが、民間企業同士のビジネス交渉に政府が介入するのは賛否両論ありそうです。卸に交渉材料を与えている格好ですね。


4.基準調剤加算の算定要件


基準調剤加算1の要件が「近隣の保険薬局と連携して24時間調剤及び在宅業務をできる体制を整備する。」で、基準調剤加算2の要件がこれを「自局単独で行えること」らしいです。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035826.pdf#page=80

個人的には今回一番の衝撃の内容。現在基準1もしくは2を算定している薬局で、24時間営業&在宅対応可能な薬局なんてほとんどないでしょう。何もしないと2の算定は絶望的ですし、近隣の薬局と「連携」できない場合は1の算定すら不可能。

「では24時間対応できるようにしよう」と簡単に言ったところで、かかるコストは決して安くありません。基準1or2の算定によって得られる利益額以下で24時間態勢が構築できるならヨシ、できないなら算定を諦めるのが得策。地域薬剤師会の輪番に加入が現実的でしょうか。

…従業員のサービス残業でもって対応しようとするブラックが続出しないことを祈ります(苦笑)


5.消費税分を上乗せ


消費税が5%から8%に上がるのに対応して、調剤基本料、一包化加算、無菌製剤処理加算をそれぞれ引き上げる。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035826.pdf#page=263

いくら上がるかは未定。108/105≒1.0286くらいの率でしょうか。

関連記事:医薬品の流通過程での消費税のかけ方がオカシイ件


6.薬剤服用歴管理指導料からお薬手帳を分離


「お薬手帳を必ずしも必要としない患者に対する薬剤服用歴管理指導料の評価を見直す」らしい。お薬手帳が不要な患者は薬剤服用歴管理指導料を減点

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035826.pdf#page=157

「シールだけ渡して安易に算定している」との批判が基になっているようですが、紙ベースお薬手帳普及策の愚で書いた通り予想できた当然の結果でしょ。

確かに今のままだったら意味ないし、やめた方がいいね。e-お薬手帳もいらないよ?やるならちゃんとやりましょう、クラウド化。


7.うがい薬(笑)


うがい薬(例えばイソジンガーグル)だけの処方を保険適応外とする案。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035826.pdf#page=225

他のに比べると平和な内容ですね。SPトローチと一緒に処方で無問題。マジでどうでもいいけど、やっぱり無駄はよくないし廃案になってほしい。


関連記事:薬局の利益構造