ワセリンを始めとする保湿剤、似たような名前のものがいくつかありますよね。あれってどう違うか知ってますか?
なんとなく「白色ワセリンの保湿力が最も強く、クリーム状のやつだと保湿力弱い代わりにサッパリ?」というイメージの方が多いかもしれません。
それも間違いではありませんが、もう少し細かな違いを見ていきましょう。
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【白色ワセリン】
”保湿剤の王様”と言われる、代表的な油脂性基剤。たいていの軽度皮膚疾患はコレを塗っておけば治ります(暴論)。
石油成分から分離されたもので、実体は”分子量の異なるパラフィンの混合物”です。(ちなみに”流動パラフィン”は低分子量のそれで、液体ですよね。)
創面の保護と、水分喪失の防止が得意。刺激性はなく、赤ちゃんの陰部に塗っても安全。
ただし、浸出液を吸収・保持し、逆流を防ごうとする場合には向かない。(20℃における吸水力は100gあたりたったの9〜15g)
なお、”プロペト”というのは丸石製薬が販売する「高品質の白色ワセリン」です。他社の白色ワセリンに比べて純度が高く非常に柔らかいです。冬場ガッチガチになる他社製品より、私はプロペトが好きですね。
同様の例に鳥居薬品の”サンホワイト”というのもありますがこちらは販売されておらず、鳥居薬品の軟膏基剤として使われています。
【親水ワセリン】
白色ワセリンに界面活性剤としてステアリルアルコールおよびコレステロールを加え、さらにサラシミツロウで硬さが調整されたもの。わずかにサラシミツロウの甘い匂いがするので嗅ぐとワセリンと区別することが可能。
白色ワセリンと違い、20℃における吸水力は100gあたり170g!湿潤面に向き、白色ワセリンより展延性に優れる。
【親水クリーム】
ごく最近ようやく名称変更があり、一般名である”親水クリーム”と一致しました。少し前まで一般名は”親水クリーム”で商品名は”親水軟膏”というワケのわからない状態でした。お前どう見てもクリームだろ、みたいな。
外相が水(o/w)の水中油型の乳剤性基剤。水分が蒸散しやすく、これにより皮膚を冷却し、消炎・止痒効果を発揮。乾燥型皮膚疾患に有用。
ただし、湿潤面では分泌物再吸収により症状悪化を招くおそれがあり、向かない。
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