2012年8月22日水曜日

医薬品卸業界が今後求められる方向性〜構造改革〜

前回の続き。

どんな構造改革が必要か?
一言で言うと、Amazon化です。


1.受発注の完全自動化


メディセオといえど未だに電話発注は受け付けていますし、FAXも可能です。これを不可能にします。「そんなバカな」と思うかもしれませんが、オンライン発注を利用している店舗はFAXや電話を使う理由がほとんどありません。
発注はorder-epiからのみとし、送信された発注データはそのまま自動で処理され、物流センターに届きます。

これにより事務員の削減が可能となります。
(現時点でもう既に、電話を受ける事務員はヒマしてるらしい。)


2.配送の外注


発注から納品までをトコトン機械化・自動化し、検品すら不要になった今、ぶっちゃけクロネコヤマトや佐川が持ってきても問題ありません。というわけで、物流センターから薬局までの配送を外注します。

これにより配送員の削減が可能となります。


3.支店を廃止、本部と物流センターのみに


上記のような体制が実現すれば、支店の存在意義はなくなります。なぜなら注文を受けるのは本部で、荷造りは物流センター、配送は外注だからです。価格交渉は対本部、クレームも対本部、医薬品情報提供はMR(本来あるべき姿)。

これにより、MS及び支店管理職の削減が可能となります。



これらはAmazonがやっているごく普通のことです。今までとずいぶん違うので当事者には違和感があるかもしれませんが、現代の卸のあるべき姿をゼロベースで考えるとこうなります。今や日常的にAmazonやネットスーパーで買い物をする世代が現場に立っているので、すぐに適応できるはずです。


卸の社員からすれば戦々恐々でしょう。しかし人員削減は目的ではなくあくまで手段。本当に必要な機能だけを残して収益性を高め、そのお金を設備・システムに投資or値引き枠として使い、卸としての機能を高めるのが目的です。

もちろん、現状人員整理は容易ではないのですぐには無理ですが、将来的にはゆっくりとこの方向に向かうと思います。「労働者は、ごく一部の優秀なホワイトカラーと大多数のルーチンワーカーに二極化する」のは医薬品卸業界も例外ではありません。


とはいえこうした体制を実現するためには、労働市場全体として雇用の流動化と職能給の導入が必要ですので、まだまだ先になるかもしれませんね。。。
(職能給と職務給の違いは、城繁幸氏の著書参照)



さて、この流れについていけない老人経営の診療所・薬局はどうすればいいか?
そこで零細卸の出番です
今まで通りの電話orFAX発注、今まで通りの配送、MS訪問。
彼らの廃業と共に時代からフェードアウトするでしょう。