2013年3月29日金曜日
チラーヂンの不思議な薬価設定
甲状腺機能低下症に用いるチラーヂン。一般名はレボチロキシンナトリウム。
添付文書はこちら
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/470007_2431004F1056_1_02.pdf
非常に有用な医薬品ながら、太古の(?)薬であるためか薬価は低く抑えられています。そんなチラーヂンのちょっと不思議な薬価設定をご紹介。
チラーヂン錠の薬価は以下の通り。
チラーヂンS錠12.5μg:9.6円
チラーヂンS錠25μg:9.6円
チラーヂンS錠50μg:9.6円
チラーヂンS錠75μg:9.6円
チラーヂンS錠100μg:11.5円
そして、チラーヂン散の薬価はというと
チラーヂンS散0.01%:58.2円/g
0.01%なので1gあたり100μgのレボチロキシンナトリウムを含有します。
力価あたり薬価をチラーヂンS錠100μgと比較すると価格差5倍、チラーヂンS錠50μgと比較すると価格差3倍です。
「なぜ粉だけこんなに高いのか?」とDIに問い合わせてみたところ、「学会からの要望に応えて発売したもの。小児のみの適応で加算がついています」とのこと。
確かに散薬の存在は有用ですね。小児に用いる場合はおそらく錠剤の粉砕になりますが、調剤が面倒なのはもちろん、調剤する薬剤師の技量によって投与量にバラつきが出てしまう可能性も。散薬なら撒くだけでOK。
とはいえ、薬価差は3〜5倍。ちとアンバランスすぎませんかね?チラーヂン散が高いというよりは、チラーヂン錠が有用性に比して薬価が安すぎると思います。
数年おきの薬価改定に伴い、チラーヂン散も今後どんどん安くなっていくことが予想されますが、薬価は新規性よりむしろ有用性を基準に定められるべきと私は常々思っています。その点でチラーヂンは冷遇されている医薬品のひとつですね。
なお、チラーヂンS錠の後発医薬品(ジェネリック医薬品)は唯一、サンド社から販売されています。レボチロキシンNa錠25μg「サンド」とレボチロキシンNa錠50μg「サンド」です。ただし薬価は同じ。
今後、新たにチラーヂン錠の後発医薬品が発売される可能性はほぼゼロでしょう。薬価安すぎですから。最低薬価に張り付かせることが先発医薬品の特許防衛として最強であることの証左ですね。