2014年9月10日水曜日

ブロプレス錠の後発医薬品発売 あすか製薬がAGを

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武田薬品の主力商品であるところのブロプレス錠(一般名:カンデサルタン)の後発医薬品がついに発売されます。第一陣が今月、第二陣が12月とのことですが、第一陣はあすか製薬より発売されるAG一品目のみ。

なお、AGとはオーソライズド・ジェネリック(Authorised Generic)の略で、ざっくり言うと「先発医薬品メーカーからのお墨付きをもらった」のような意味です。前例としては、アレグラ錠に対するフェキソフェナジン塩酸塩錠「SANIK」や、ディオバン錠に対するバルサルタン錠「サンド」があります。

当然ながら(?)先発医薬品メーカーと資本関係のある会社からの発売となっていますし、あすか製薬も例外ではありません。(武田薬品が株式の7%超保有の筆頭株主)

あすか製薬が(AGのネームバリューを除いても)他の後発医薬品メーカーを押さえて明らかに有利な立ち位置にいる理由を3つにまとめました。


1.一足早い発売


既に書きましたが、カンデサルタン錠「あすか」は今月発売。対する他社製品は12月の発売です。既にブロプレス錠を長年服用していて、後発医薬品への変更を希望する人にとって、あえて3ヶ月待つ理由はあまりありません。わりと高額な薬ですし。

2014年9月時点での薬価は以下の通り。

ブロプレス錠2mg:37.5円
ブロプレス錠4mg:69.8円
ブロプレス錠8mg:135.6円
ブロプレス錠12mg:208.5円


2.適用が先発品とまったく同じ(他は違う)


先発医薬品であるブロプレス錠と同じく慢性心不全の適用を取得しているのは、「あすか」だけになる見込みです。

通常の高血圧であれば他社品目でも問題ないのですが、病院で慢性心不全の病名をつけているかどうかを薬局が知る手段は事実上ありません。

患者さんに「あなた慢性心不全ですか?」と聞くわけにもいきませんし、その都度病院に電話で確認するのも非現実的ですしね。(そもそも審査機関がそこまで見ているのか怪しいもんですが。)

ブロプレス錠2mg/4mg/8mg/12mg 添付文書pdf


3.そして高薬価


AGの薬価は以下の通り。なぜか先発医薬品に対する率はまちまちですが概ね6割で12mg錠のみ5割?

カンデサルタン錠2mg「あすか」:21.6円
カンデサルタン錠4mg「あすか」:41.9円
カンデサルタン錠8mg「あすか」:81.4円
カンデサルタン錠12mg「あすか」:103.2円

対する他社の製品は5割で発売される予定です。

一見不利な条件ですが、先発医薬品と適用が同じであるのは「あすか」のみであるため、ほとんど「あすか」しか選択肢がないようなものです。

となると薬価が高いことは有利になります。売れるとわかっていれば価格競争する必要はありません。うまくやりましたね。



高血圧症治療剤「カンデサルタン錠『あすか』」に関する事業化契約の締結について

公式にリリースされたのが2014年5月、業界での噂レベルでは既に昨年から挙がっていましたね。

ここで、あすか製薬の株価の推移を見てみましょう。昨年中盤から見ても倍近くになっています(^^;


ちなみにあすか製薬第94期有価証券報告書によると前期のEPSは17.85、今期の予想EPSは28.77とのことですので、仮に株価が1,400円とするとPERは48倍を超える超割高!折り込みすぎじゃないでしょうか。

あすか製薬の前期の売上高は390億円。ブロプレスの国内売上は武田薬品主要製品売上高によると2013年が1,258億円、2014年が980億円の見込み。3割が後発医薬品に切り替わるとすると(そしてすべて「あすか」になるとすると)約300億円の売上増なので、あすか製薬の売上高はいきなりほぼ倍に。

…なったとしてもまだPERは24倍で割高という。今から入るのは遅すぎですし、生暖かく見守りましょう。もちろん安易なショートは厳に慎むべし。



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MSさんがカンデサルタン錠「あすか」のパンフを見せながら「これ、実はブロプレスなんですよね(^^;」と説明するのを聞き、「あぁ、またこういうバカバカしいことやるんだな」とつくづく思いました。

子会社に少し安い(でも他より高い)後発医薬品を作らせる先発医薬品メーカーと、それに負けじと追随する後発医薬品メーカーの数々(でも工場は同じだったり)との戦い、茶番にしか見えません。

医療費削減の旗頭の元、社会全体で膨大な無駄を作り出している後発医薬品市場。先発医薬品メーカーが特許切れと同時に薬価をがくんと下げれば一発で済む話です。以下記事参照。


関連記事:本当はジェネリック医薬品なんて要らない