α−グルコシダーゼ阻害薬、略してα−GI。製品としては武田薬品のベイスン(一般名ボグリボース)とバイエルのグルコバイ(一般名アカルボース)。
ベイスン錠0.2/ベイスン錠0.3 添付文書pdf
グルコバイ錠50mg/ グルコバイ錠100mg 添付文書pdf
デンプンは糖の基本単位がいくつも連なった構造をしていて、これを唾液中のアミラーゼでバラバラにして糖にするわけですが、この次、糖の基本単位が2コくっついた”二糖”から糖の基本単位である”単糖”に分解するときに活躍するのがα−グルコシダーゼです。
ベイスンやグルコバイはこのα−グルコシダーゼを阻害することによって二糖→単糖の分解を遅らせ、その結果血糖値の急激な上昇を抑えるわけです。
α−GI服用患者が低血糖を起こしたとき、砂糖ではなくブドウ糖を
しかし、いざ低血糖が起こったぞ!というときは少し困ったことになります。なぜならα−グルコシダーゼ阻害薬のせいでα−グルコシダーゼが働きにくく、砂糖などの二糖ではすぐに血糖値が上がらないからです。
ゆえにα−グルコシダーゼ阻害薬服用患者にとって、ブドウ糖のような単糖を携帯することは必須なのです。
武田薬品がブドウ糖配布に消極的になる理由
さて、本題。
先日卸経由で聞いた話ですが、簡単に言うと「今まで卸に在庫させてブドウ糖を無制限に配布していたが、今後はベイスンの納品実績がある医療機関の求めに応じてメーカーから出荷→卸経由で配布する」みたいです。
というのも、「ベイスンの売上は右肩下がりなのに、ブドウ糖の出荷数は右肩上がり」だからとか。確かにそりゃおかしい(^^;
ちなみに、グルコバイの方(バイエルの販売移管先である富士フィルムファーマ)にも聞いてみたところ、「使用実績がある医療機関に」と同様の回答。
後発医薬品を販売しているメーカーはブドウ糖を配布しないの?
ベイスンの売上減少は、(ボグリボース自体の処方減少はどうか知りませんが)おそらく後発医薬品に流れている部分がほとんどかと思われます。なのに武田薬品のみがブドウ糖を配布するのはちょっとおかしな話ですね。
後発医薬品メーカー各社は、自社の商品の納品実績がある医療機関に限定してブドウ糖配布をしてもいいのではないでしょうか。数十社ありますが、現状ブドウ糖を提供している会社は一社もないようです。
患者側もブドウ糖の適正使用を
とはいえ、「ブドウ糖もらいすぎー」って患者がいるのもまた事実。そんなに頻繁に低血糖を起こしているのであればブドウ糖をたくさん渡すより他にするべきことがあるわけですが、おそらく違うでしょう。砂糖代わりに使っていたり、オヤツ代わりに使っていることが容易に想像できます。
そもそもブドウ糖は特殊なものでもなんでもなく、それこそ砂糖のようにkg単位で買えば安いものですし、携帯できる↓のような商品もごまんとあります。
アークレイ株式会社
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いっそ製薬会社によるブドウ糖配布自体なくなってもいいと思いますが、いろいろと難しそうですね。
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