2013年1月14日月曜日

的外れな残薬確認の意義と、真の解決策

今更ながら平成24年度より、”薬局薬剤師による残薬確認”が始まっています。前回処方された薬に飲み残し、飲み忘れがないか確認するというもの。義務ではありませんが、薬剤服用歴管理指導料41点の算定用件になっているので、実質義務化といえます。(以下P14参照)

厚生労働省
平成24年度調剤報酬改定及び 薬剤関連の診療報酬改定の概要
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/h24_01-06-1.pdf


趣旨としては、「患者宅に死蔵されている400億円分とも500億円分とも言われている飲み残しの薬、これを有効活用して医療費を削減!」というもので「それを担うのが薬局薬剤師である!」というもの。

しかしこれは大きな間違い。
方向性は正しいけど、戦略がおかしい。

どう間違っているのか、じゃあどうすればいいのか。
3STEPで書きます。



1.「不良在庫を有効活用して医療費削減」は正しい


薬局の売上の7〜8割は薬価由来です。ゆえに(病院の診療報酬を除けば)医療費削減の手段として医薬品に着目するのは正しい。全体の2割に過ぎないものを必死に削減するよりも、8割を削減する方が効果的だからです。

医薬品代をターゲットとした医療費削減は二本柱。ひとつはもちろん、ジェネリック医薬品。もうひとつは不良在庫の有効利用でしょう。

関連記事:薬剤師がジェネリック医薬品を推進すべき3つの理由


2.「それを担うのが薬局薬剤師」これは間違い


例えばゴミ処理。燃やせるゴミ・燃やせないゴミの分別、再資源化可能な瓶・缶・プラスチックなど、これらをきちんと分別・処理・再資源化するためにはどうすればいいでしょうか?

言うまでもなくゴミの分別を徹底することであり、これなくして末端のゴミ業者がいくら頑張っても徒労に終わるでしょう。各々好き勝手に捨てた様々なものが混合されている大量のゴミ袋、それが全国各地で…「ゴミ業者もっと頑張れ」って?想像しただけでゾッとします。

医薬品流通でも同じで、末端の薬局がいくら頑張っても効果が出ないのは目に見えています。ではどうすればいいか?


3.「不良在庫が発生しない医薬品流通システム」を構築せよ


何かをするにあたって「誰かが○○をがんばるようにする」という手段は悪手です。よくある間違いではありますが。

正しくは「目的が自動で達成されるようなシステムを作る」です。「時を告げるのをやめ、時計をつくること」とも言えます。

つまり真の解決策は「不良在庫が発生しない医薬品流通システムを構築すること」であると言えます。水道網を敷設するのは大変ですが、だからといって毎日川まで水を汲みに行く方がいいという人はいません。


必要なのは

処方単位と医薬品包装単位の共通化
製薬会社の不当な儲け方を禁止する
製薬及び卸会社の合併統合淘汰を進める


続きはまた次回。




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