しかし、「後発医薬品は悪、先発医薬品こそ善」という二元論は明らかにおかしい。それがわかる例を挙げます。
1.先発医薬品の方が不便
白内障の予防に使われる、カリーユニ点眼液。非常によく使われているメジャーな薬ですが、これ実は後発医薬品です。
先発医薬品はカタリン点眼用とカタリンK点眼用。共に用時溶解型で、溶解後は冷所保存という不便極まりない製品。当然ながらカリーユニ点眼液の方がよく使われています。
ところでカタリンKのKはKaryuのKなの?顆粒ならGranuleでGでしょ。既読スルーもKSじゃなくてKTだよ?(どうでもいい
カタリン点眼用0.005% 添付文書
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/380086_1319706Q2039_1_03.pdf
カリーユニ点眼液0.005% 添付文書
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/300237_1319706Q3035_1_04.pdf
2.後発医薬品の方が便利
緑内障治療薬のキサラタン点眼液。先発医薬品の貯法欄には2〜8℃と記載がありますが、多くの後発医薬品では室温保存。このように後発医薬品は先発医薬品の弱点を克服するべく工夫しているケースが増えてきています。
キサラタン点眼液0.005% 添付文書
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/671450_1319739Q1037_2_03.pdf
関連記事:キサラタンなどの点眼液が冷所保存じゃなくていい理由
あるいは酸化マグネシウム。先発医薬品は散剤で、後発医薬品は錠剤です。当然ながら錠剤の方が便利ですよね(^^;
関連記事:レモン風味の酸化マグネシウム
3.先発医薬品が存在しない
ビタミンB12製剤のメチコバール錠。あんまりメジャーなので先発医薬品と思われがちですが、これ実は後発医薬品です。
本来ならこれが先発医薬品なんですが、承認に時間がかかったとか何とかで、後発医薬品認定されました。ということで先発医薬品は存在しません。
メチコバール錠 添付文書
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/170033_3136004C1038_1_03.pdf
結局のところ何が言いたいかというと
先発医薬品と後発医薬品の線引きなんて形式上だから気にするな!
ってことですね。
もしそのメーカーが発売していなければ、別のメーカーが違う添加物を入れて先発医薬品として発売していたでしょうし、「先発医薬品と”完全に”同じじゃないから」の一点に過度に拘泥する意味がまったくわかりません。
「医療費を削減したい厚労省の策略には騙されないぞ」と息巻いている人が、むしろ厚労省のお墨付きに拘っているという構図です。目を覚ましましょう。
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