作用機序は、インスリン分泌を促進するインクレチンというホルモンを分解するDPP4という酵素を阻害することにより、インスリン分泌を促進します。
知らない人からすると「なぜそんなまどろっこしいことをしているのか」と映るかもしれませんが、直接膵β細胞を刺激してインスリンを捻り出す糖尿病薬に比べて体の負担が少ないと言われています。
「画期的新薬じゃないか」と思ったのも束の間。
最近ちょっとやり過ぎです。
まず2009年12月にMSDがジャヌビア錠を、同年同月小野薬品がグラクティブ錠を発売。これらはいわゆる併売というやつで、成分は共にシタグリプチン、パッケージや看板が違うだけです。
これだけならまだよかったのですが、問題はここからです。
続いて2010年4月にノバルティスがエクア錠を発売。
成分名はビルダグリプチン。
次に2010年6月に武田薬品がネシーナ錠を発売。
成分名はアログリプチン。
次に2011年9月にベーリンガーがトラゼンタ錠を発売。
成分名はリナグリプチン。
次に2012年 8月に田辺三菱がテネリア錠を発売。
成分名はテネリグリプチン。
さらに間もなく発売される興和のスイニー錠。
成分名はアナグリプチン。
計7種類。
ジェネリック医薬品は、その昔”ゾロ”と言われていました。新薬の特許が切れた途端”ゾロゾロ”と出てくるから、らしい。蔑称ですね。でも今の先発品メーカーも同じですよね。新しいターゲットが発見された途端ゾロゾロ出てくる、ゾロ新薬。
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通常、新薬は既存薬と比較して効果に優位性が認められた場合のみ承認されるのですが、新しいカテゴリーの薬である場合、比較対象は別カテゴリーの薬となります。
同じDPP4阻害薬と比べていない以上、例えばテネリア錠がジャヌビア錠と比べて優位であるかどうかはわかりません。恐らく、本来承認されるべきでない薬が含まれています。
それぞれの特徴や使い分けは、また気が向けば改めてまとめます。
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