1.後払いビジネス
ビジネスは二つのタイプに分かれます。先払いか後払いか。いつも資金繰りに困ってるのが前者、手元に現金が余ってしょうがないのが後者。
薬局は典型的な後払いビジネスで、これが薬局業界の大きなアドバンテージの一つになっています。
卸から薬を掛けで仕入れ、代金の支払いを三ヶ月後にすることが可能。患者に薬を販売(調剤)し、代金の受け取りは一部(窓口負担金)はすぐに、残りは二ヶ月後です。
(なお、支払いサイトは卸との契約によります。これを二ヶ月後や一ヶ月後にして、より高い値引率で仕入れることも可能。)
つまりどういうことか?
仮に運転資金がゼロでも問題ないということです。仕入に関しては。
上記が逆(先払いビジネス)だと多額の運転資金を必要とし、場合によっては黒字でも倒産します。
「会社がつぶれる」というのはどういうことかというと、要は「支払いができなくなったとき」です。「手元の現金がなくなったとき」です。薬局はきちんと経営していれば、現金はなくなりようがありません。
2.収支の見通しが立てやすい
では「きちんと経営する」とはどういうことでしょう?これは色々意見があると思いますが、私は「営業利益が毎期黒字」だと思っています。それを実現する手段はひとつ、開業時の収支見通しを立てることで、薬局はこれが非常に簡単なのです。
例えばラーメン屋を新たに始めるとします。どうやって収支計画を立てますか?専門家に聞けばいろいろ方法はあるのかもしれませんが、私にはちょっとわかりません。なぜなら売上の予測が不可能だからです。
対して薬局なら簡単です。このたび処方箋を出してくれることになった病院にお願いして、処方箋枚数の過去実績と処方内容を教えてもらえば、”売上総利益”が算出できちゃいます。ひとえに調剤報酬および薬価が公的に定められているおかげですね。
あとはその範囲内に、”販売費及び一般管理費”が収まるかどうか。つまり、薬局って実は開業時に勝敗が9割決まっているのです。
3.業績が安定している
ではそれが続くのかどうかという話ですが、持病がある人は必ず病院に行かねばなりませんし、薬も飲まねばなりません。今までその病院に足しげく通っていた患者たちが急にぱったりと来なくなった…という事態は考えにくいです。
まとめます。
収支計画をきちんと立て、営業利益黒字が維持できる薬局であれば、現金が足りずに支払いが遅れることはありえないので、薬局は絶対につぶれない。
といえます。
”売上総利益”とか”営業利益”とか難しいよと言う人は、家計に置き換えると理解しやすいですよ。会社経営も家計管理も、やっていることは同じです。
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