それは、回収不能に陥ったレセプトあるいは窓口負担金のことです。
例えば、誤ったあるいは既に無効な保険番号によるレセプト請求に対して返戻が届き、本人に連絡がつかず、正しいあるいは有効な保険番号がわからない場合。売上の7割ないし9割が不良債権化します。
あるいは、1割負担だと思っていた人が実は3割負担だった場合や、公費で負担ゼロだと思っていた人が実は無効な公費だった場合。同じく本人に連絡がつかないなら売上の2割ないし3割が不良債権化します。
もしこうなってしまったらどうしますか?”返戻ファイル”に挟んで放置というのがよくあるパターンではないでしょうか?確かにどうしようもないですもんね。
しかし、どの道回収できないなら、少しは役に立ってもらいましょう。医薬品のロスと同じです。どうやって?貸倒損失としてです。
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国税庁
No.5320 貸倒損失として処理できる場合
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5320.htm
本来”貸倒損失”とは、取引先の倒産などで回収不能に陥った債権について損金に算入できるというもの。要するに「損した分は利益から引いていいよ」です。
これを薬局業界に置き換えると、取引先は支払基金ないし患者になります。請求が通らず再請求不可になった場合、あるいは患者から正しい窓口負担金を回収できない場合、貸倒損失に該当します。
実行に移す際は顧問税理士や管轄税務署に確認をしてください。
ただ、雇われ薬剤師が「回収不能です」と言っても、経営者は「回収の努力をしろ」と返すだけかも。そもそも「回収不能です」と言いにくいから”返戻ファイル”に封印して放置しているんでしょうし。
とはいえ、「連絡先はわかっているが支払いを渋り続ける患者」というのはけっこういるもので、タチが悪いですよね。このテの人に督促を続けるのは労力対効果が悪い。いわんや「連絡先がわからない患者」をや。
私が経営者ならとっとと損切りします。事前に顧問税理士に相談し、貸倒の基準や処理・報告方法を定めておき、現場の人間に周知徹底させ、極力負担の少ない方法で運用する。額も頻度も(普通は)小さいですし、さらっと流していきましょう。
そして、そもそも貸倒なんて発生しないに越したことはありません。
対策として
1.必ず保険証を確認
2.住所と電話番号を聞く
3.レセプト返戻は断れ!
2はあまり効果ないですし、3は1に通ずる内容です。
やはり1、保険証の確認。コレだね!
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