2014年(平成26年)4月診療報酬改定(案)7つのポイントで書いた通り、2014年4月より”後発医薬品調剤率”の計算方法が変わります。ざっくり言うと、「後発医薬品(ジェネリック医薬品)が発売されていない先発医薬品を計算から除外」ということですね。
国としても「これを55%以上ないし65%以上を目指してほしい、それが薬局の責務である」という方向性はわからなくもないですし、経営者としても「点数減らされたら大変」と社員にプレッシャーをかけるのも無理からぬ話。
しかし今までやることやってきている薬局としては、実はもうほぼ打つ手はありません。そして勘違いしてほしくないのは、タイトルの通り「後発医薬品調剤率は、薬局の努力の有無を必ずしも反映していない」ということ。
どういうことか?例を挙げて解説します。
結論から言ってしまうと、「メイン処方元の処方内容に依るから」です。
後発医薬品ばかり処方するA病院とその横にあるA薬局。
先発医薬品ばかり処方するB病院とその横にあるB薬局。
前者の後発医薬品調剤率は、何もしなくてもかなりの高水準にあるはず。
後者のそれは、変更可ならまだしも、変更不可なら低水準のはず。
先発医薬品ばかり処方するも変更可なC病院の横のC薬局。
この場合は、おそらく今までの流れで既に後発医薬品への切り替えはほぼ完了しているでしょう。
これらすべてのパターンにおいて、4月以降新しくできることが増えるわけではないので、もしここから策があるとしたら単に今までやっていなかっただけです。
ゆえに、”今までやることやってきた薬局”ほど打つ手なしとなるのは当然。
半年〜一年くらいしてから、「国の目標基準に達していない、薬局の怠慢だ」とか頓珍漢なことを言い出しそうなんですが、そう言いたいならきちんと”薬局の努力が測定できる計算方法”を導入すべきです。
変更不可の×をつけている品目の除外
これで”薬局としては変更しようがないケース”を母数から除くことができます。これによってはじめて、後発医薬品調剤率は薬局の努力を表します。(さらに言えば、最初から後発医薬品が処方されているケースも除き、変更調剤したものだけカウントすれば完璧ですが、そこまでする意味は感じません。)
結局のところ大事なのは「後発医薬品の普及」であり、「医療費の抑制」であります。となると、以下も追加で。
生活保護受給者も計算に含める
後発医薬品調剤率の計算上、なぜか生活保護受給者は完全に除外されています。私は「生活保護受給者には後発医薬品を使え」がマジで始まる?で書いた通り「生保こそジェネリック」とは思いませんが、除外する意味もわかりません。「生保を除く国民の医療費削減」ではなく「国民の医療費削減」なんですから、すべてまとめて率を計算しましょうよ。
なぜか今回話題にすら挙がっていませんが、今まで通り生活保護受給者は後発医薬品調剤率の計算から除外されています。
関連記事:「後発医薬品調剤率の計算において生活保護は除外する」ってどうなったの?
一般名処方の義務化と、先発−後発差額自費負担方式の採用
これができれば一気に潮目が変わります。処方は常に一般名処方とし、調剤は原則後発医薬品を。先発医薬品を希望する患者に対しては、(先発医薬品の薬価ー後発医薬品の薬価)を全額自費で徴収する。世間では”参照価格制度”と呼んでいるようです。
ただ、これを実行すると医師会と製薬企業の両方にケンカを売ることになるので、国が及び腰になるのも当然。結果、薬局のケツを叩いてお茶を濁しているというのがここ数年の後発医薬品行政でございます。
まぁ、ぼちぼちやりましょう。
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