風邪で抗生物質を飲むな!熱も下げるな!で書いた通り、風邪についての誤った認識には困ったものですが、「風邪には注射が一番」というのも誤りです。どうも高齢者を中心に注射信仰というのがあるらしく、医師の治療方針を無視して「いいから注射してくれ!それで治るから!」とか言う輩もいるそう。
”注射”を”点滴”に読み替えても同じことです。
”注射”は投与経路のひとつに過ぎない
投与経路 Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%95%E4%B8%8E%E7%B5%8C%E8%B7%AF
確かに肝初回通過効果を受ける経口投与に比べて注射は優れた投与方法ですが、あくまで投与”方法”です。問題は次。
そもそも何を注射しているのか
コレですよね。おそらくはNSAID、解熱薬です。風邪でしんどい原因は鼻水や咳よりも発熱による倦怠感であり、解熱薬を投与すれば確かに体はラクになり、その即効性も手伝って「すげえ!効いた!」と感じるのは無理もありませんが、経口投与でも効果としてはほぼ同じ。
さらに言えば風邪で抗生物質を飲むな!熱も下げるな!で書いた通り、風邪でむやみに熱を下げるのは愚の骨頂です。おそらくですが、”ひとまずラクになる”のと引き換えに、風邪の完治が遅くなります。
また、ビタミンやブドウ糖を注射することもあるみたいです。食欲がなく、食事が摂れていないケースだと有効ですが、そうじゃないなら不要、プラセボ効果の域を出ません。
余談ですが、某皮膚科では「病院に行ったのに注射もしてくれない」とか言う患者対策としてグリチルリチンを注射するらしい。こんなもん効くわけないと思いつつも。医療費の無駄遣いですが元はと言えば原因は患者の無知です。(なお、治療上問題はありません。その後薬局でもらう薬を内服すればちゃんと効きます。)
じゃあどうしたらいいの?
答えはシンプル、栄養と睡眠。ちゃんと食べて、あとは寝てろってことです。繰り返しますが、風邪を治すのは薬ではありません、自身の免疫なんです。
末期エイズ患者が免疫不全で死にかけてるところに風邪薬を注射ないし点滴すれば治るのか?と問いたい。問いつめたい。小一時間問いつめたい。
「どうしても今日は寝ていられない!」という人は、解熱薬を使うのも手です。ひとまず向こう5〜6時間は動けるようになるのでそれで乗り切る。ただしその後、熱を下げず、食事を摂り、しっかり寝るのを忘れずに。
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